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TVとライブで子どもの脳活動は違う

 テレビで映し出される映像と現実の姿を子どもはどのように理解しているのでしょうか。これらについて興味深い研究結果が報告されています。
 これまでの研究で、3歳以下の子どもはテレビから十分に学習できないことが知られていました。例えば、生後9ヶ月の乳児は目の前の他者からは外国語の学習ができても、テレビの他者からは学習できないことが知られています。ところが、4〜5歳頃になるとテレビの他者からもライブの他者からも言葉やゲームのルールなどを同程度に学ぶことができるようになることも今までから知られていました。ライブの他者は身体的接触も含めたコミュニケーションがあるのに対し、テレビの他者は一方的に情報を伝達するだけです。生後6ヶ月の乳児でも、目の前の他者とテレビの中の他者を区別しているといわれます。しかし、両者を区別していながら、ある年齢以上になると学習効果が同等になるが学習プロセスや脳の活動が同じかどうかは分かっていなかったようです。
 上越教育大学森口佑介准教授らの研究では、5、6歳の幼児と20代の成人にライブとテレビの両方でカード分けゲームを観察した後、同じルールでカードを分けるように学習を指示したところ、幼児、成人のどちらにおいても両条件の間に学習成績の違いがないという結果が出ました。ただし、観察段階の脳の活動は、成人は他者認識と関連する脳の運動関連領野が活発になるのに幼児は弱いままでした。これは、幼児も成人と同様に、ライブとテレビのどちらからも学習することが可能であるにもかかわらず、テレビから学習する場合は、他者認識と関連する脳の部分が活性化していないことを示し、学習プロセスなどは異なることを示唆しています。
 今後、PCやテレビなどを使った学習が避けられなくなってきます。この結果がどう影響するかなど更に研究が進むことを期待しています。