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南極の海氷が増え北極の海氷が減少

 宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、南極海の海氷が衛星による観測が始まった1970年代後半以降で最大の面積を記録したと今月の20日に発表しました。これまでの最大面積記録より、さらに本州、四国、九州を合わせた面積の約2倍増加したとしています。一方、米航空宇宙局(NASA)は北極海の海氷面積が観測史上6番目に小さくなったと発表しています。
 海氷の場合はその面積の増減が海面水位に与える影響はほとんどないと言えます。しかし、南極の場合、南極大陸に膨大な陸氷があります。陸氷は海氷と違い海面水位に大きな影響を与えます。その陸氷は温暖化により減少しており、その速度は加速しています。すぐに起こるわけではありませんが、陸氷が全てとけると仮定した場合、海面水位が50〜60m上昇すると言われています。世界中の主要な都市がほとんど水没することになります。
 北極海の海氷や南極大陸の陸氷は温暖化により確実に減少していますが、南極海の海氷は増加していると言う、一見矛盾したような現象になっているのが今回の発表です。温暖化が進行する過程では、海や川からの水蒸気上昇がすすみ、降水量や降雪量が増えることがあります。そのことにより、海水の濃度を低下させるなどして南極の海氷を増やす要因になったりしているようです。同様に、温暖化により北極海の海氷が小さくなると、寒波が襲来する要因になるとも言われています。当初の予報では、今年は冷夏、暖冬といわれていました。北極海の海氷減少の報を受けどのようになるのでしょうか。自然現象の奥深さ、複雑なメカニズムに神秘すら感じます。