黄色いアサガオ
青色と黄色、青色はノーベル賞を受賞した発光ダイオード、黄色はアサガオで話題を集めた色です。
「黄色いアサガオだけは追いかけるな」は、東野圭吾の小説「夢幻花」の帯にある言葉です。小説でも取り上げられ、黄色のアサガオは「幻の花」と呼ばれています。アサガオは青い花が元々の色でしたが、江戸時代にアサガオの品種作りが盛んに行なわれ、赤、桃、紫、茶、白など多彩な色が現れたそうです。そのなかに黄色もあったとされていますが、その後途絶え姿はみられなくなっていました。その「幻の花」を基礎生物学研究所の星野敦助教らが、鹿児島大学と(株)サントリーグローバルイノベーションセンターの共同研究で咲かせることに成功したと10月10日に発表しました。
江戸時代に栽培と品種改良が盛んに行なわれ多彩な色のアサガオを作り出していたというのは驚きです。それを現代の科学の力で再現したことになります。アサガオと言えば、朝に開花し夕方にはしぼみます。同じように咲く花に木槿(ムクゲ)があります。白居易の詩のなかに「松樹千年終是朽/槿花一日自為榮」(「放言」の一部)とでてきます。松は千年の寿(よわい)をたもつが、いつかは朽ちる/ムクゲの花は一日の寿命でもそれはそれでまた栄華だ、と謳っています。どちらも昔から生活に根ざした花とされてきてものです。
同じ花で「黄色」の先輩の「青色」、「不可能・有り得ない」とされた「青いバラ」も開発に成功した後、「奇跡」、「神の祝福」や「夢叶う」という花言葉が新たに設けられたとの話です。何事にも挑戦することの大切さを教えられた発表でした。