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親孝行・やってみなはれ

2022年09月16日

「人の死に様は、人の生き様」

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私が、父を思い出す時はいつも書斎に座って執筆をしていた後ろ姿です。

父は、チャレンジ精神旺盛で、70歳の時に家族の大反対を押し切って、経営コンサルタントの資格を取得しました。当時70歳にして若い学生さんに混じってスクールに通って学び続ける父が不思議でなりませんでした。

そんな父が、75歳の時に肺尖気腫を患いました。病気を患い自分は弱っていくにもかかわらず大学まで足を運び、就職アドバイザーとして学生さんのエントリーシートを最後まで熱心に指導し続ける父の送り迎えをよくしたのものです。

父は、発病から6ヶ月ほどでとうとう働くことができなくなりました。仕事を辞め、自分で身の回りもできなくなったため、私は父をお風呂に入れてあげることにしました。私の中の父は、厳格で社交的でとても雄々しく大きな存在でした。そんな父の服を脱がしてお風呂に入れて背中を流した時にあまりにも小さくなってしまった父の姿にとても衝撃を受けたことを今でも忘れられません。後でこっそり父にわからないように泣いたことを今でも覚えています。とても小さくなってしまった父の姿からこの先回復は見込まれないことを悟った瞬間でした。

その後、日に日に坂を転がり落ちるように父の体力は衰えていき、自分でトイレに行くことも服を着替えることも寝返りを打つことさえもできなくなりました。

亡くなる日の前日は、たまたま私の順番で実家に泊まっていたこともあり、私と父との思い出や父に伝えておきたかったこと等を色々と二人で話すことができました。神様からもらった最後の父との貴重なひとときでした。

次の日の晩、1週間ほど点滴しかしていなかった父が久しぶりに調子がよく大好きだったうなぎを一口食べて「あー美味しかった」という言葉が父との最後の会話でした。

この日は、容態が安定しているからと一旦家に戻ったのですが、夜中に急変して家族全員が呼び出されて、家族に囲まれながら息を引き取りました。

父が好きな実家で家族6人と大勢の孫で看取れたことが、自分の中での最後の親孝行となりました。父からは、「人の死に様は、人の生き様」という言葉を彼の人生から教わりました。私も父のように最期までよく学び、人のお役にたち、家族を大切にする人生でありたいと思っております。



(雲雀丘学園中学校・高等学校 中1学級副担任 技術家庭科 和田 由起子)