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ちょっと気になるニュース

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 大学工学部志望者がここ10年で半減し、下げ止まらないという(毎日新聞)。文部科学省の学校基本調査により,95年は57万4000人いた工学部志願者は、05年に33万2000人にまで減少し,逆に医・歯・薬学部は同23万9000人から28万5000人に,看護・医療・保健学部も5万人から11万人に倍増していることがわかったためだ。 実際,昨年,岩手大工学部では,電気電子工学科,建築環境工学科が共に1.0倍,応用化学科1.1倍になるなど,国公立大工学部中,最低倍率を記録した。他に長崎大,熊本大,新潟大など7校も2倍を切る倍率になっていた。

 確かに,岩手大の場合は,理科2科目に変更になったことが大きく影響したと考えられるが,それにしても,工学部の不人気は深刻だ。02年度と06年度に実施された国公立大工学系学部入試(前期日程)を比較すると,計約2万人の募集に対する志願者数は,約6万4000人から約5万3000人に減少,平均倍率は約3.3倍から2.7倍に低下している。この間,18歳人口9%減を見込んでもそれを上回る減少率だ。

 こうした不人気に対し,早稲田大は96年続いた理工学部を「基幹理工」「創造理工」「先進理工」の3学部に再編し,大学院との一貫教育を強めた。また,関西大は来春工学部の募集を停止し、「システム理工」「環境都市工」「化学生命工」の3学部に再編する予定だ。中身を分かり易くし,志願者減少に歯止めをかけようとする狙いもあるようだが,それだけで果たして人気復活なるかどうか。

 一体,どうしてここまで避けられてしまったのか。よく言われるのは,
(1)資格取得に直接結び付かない
(2)学問の内容が多岐にわたり,わかりにくい
(3)理科離れ
などであるが,私はこれら以上に,
(4)オタクを軽佻に扱う風潮
(5)大学院まで含めて考える修業年限の長さ
(6)研究・年齢に見合わない報酬
の方が重いと思う。
いくら,口で日本の産業の要と賛美しようが,社会全体が技術者に対してその努力に尊敬の念を払わず,経済的に不当に扱われている限り,決して受験者は戻らない。教育内容,組織改編などその方面も大事だが,ただ,学内改革だけに終わせず,メーカーも含めた産学一体の取り組みを構築していく必要があると思う。「プロジェクトX」じゃないけれど,技術は日本の宝なんだから。