2007年度入試予測 その1
実際に実感している人がどのくらいいるのかは別問題として、経済成長は戦後最長のいざなぎ景気を超えて記録を更新している。このような社会情勢は、社会の動きに敏感に反応する受験生の心理にも影響を与えているようだ。
数年前まで人気がない学部の代名詞だった経済学部だが、景気回復と軌を一にするように人気が上がってきている。景気が良くなって就職の心配がなくなると、″つぶしが利く″経済系の人気が上がる、と言われるが、まさにそのような状況下にあるようだ。
経済系人気の要因は、就職状況の好転の他にもある。M&A (企業の合併および買収)や起業家がクローズアップされることにより、経済的事象そのものに対して興味を持つ受験生が増えている。村上ファンドやライブドアなど”ヒルズ族〃が注目された05年から経済系学部人気は高まっているが、その流れは、これらの企業による不祥事にもかかわらず、来春入試でもさらに強まっているようだ。しかし,社会をにぎわす起業家の出身大学は難関大が多いこともあり、東大、一橋大、千葉大、私立では、早稲田大、慶應義塾大、同志社大、明治大などの上位大学で志願者増が見込まれている。ただ、難易度面は前年と大きな変化はないようだ。
経済系人気が高いとはいえ、すべての大学の志願者が増えることはない。就職が売り手市場なら、07年に全入時代を迎える大学入試は、さらに輪をかけた売り手市場になるだろう。 すなわち,人気が高い学部系統ゆえに、志願者が集まる大学と集まらない大学の″二極化″のボーダーラインは下がる可能性があり、志願者が増える中堅大学は他の学部系統より多いと見られる。しかし、それでも全体としてみれば入りやすい状況に変わりはないようだ。実際,競争率を見てみると,地方を中心に1倍台の大学も数多く見られる。この状況がさらに拡大することは間違いなさそうである。