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直前ですが・・・・・

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title20061228_2.jpgセンター試験の現代文の出題では、以前は言語・社会などを主題とした思想系の素材がよくとりあげられていましたが、ここ三年は、18年度が演劇論、17年度が映画論、16年度が音楽論、と芸術を扱った文章がよくとりあげられています。思想系の文章の場合だと、抽象性が高く、術語などをよく理解しながら読み解かなければならない難しさがありましたが、芸術論を扱った文章は、さほど高くなく、近年のセンター試験評論文は易しくなったと言えます。しかし一方で、芸術論は文章中の表現が読み手の日常体験と明確に結びつけられなければ、読み解きにくいという特徴があります。
 これに対しては、新聞や雑誌の作品批評を読み、それらが自分の感性や感覚と一致しているのか、していないのか、してないならどこが違うのかを自分なりに考察してみることです。これは、自分の考えと出題者の解釈をすりあわせる作業と同じで、センター試験の選択肢から正解を選ぶ作業につながるとも言えます。そうすれば、説得性のうすい説明は、意味がずれた類似・類義語が使われていることによる間違いだと気付けるようになります。やはり、緻密で広範な語の理解力が要求されるとも言えるでしょう。

title20061228_3.jpg 17年度は遠藤周作、18年度は松村栄子と、近年は現代作者からのものが多く、以前に比べやや易しくなったと言えます。ちなみに、16年度は森鴎外からのもので、いろいろに解釈できる、難しい設問が多かったように思います。、どちらにしても、近代・現代どちらからも出題されることを想定して演習しておく必要があります。
 小説を読解する際に最も注意しなければならないことは、深読みをしないことです。評論文と異なり、ある箇所の解釈や理解を求められた場合、正解がそのまま本文中に含まれていることが少ないのが小説問題の特徴です。それを克服するには、登場人物の会話や心情表現、または具体的な行為の描写から、文章を客観的に理解することです。設問の箇所として、文学的な表現がねらわれることもあります。「ふたりは、ふたりであるがために身をこわばらせて黙り込んだ」 (18年度) の解釈問題では、自分の思いこみだけで読むのではなく、傍線部の後にある登場人物の心情描写に着目すれば正解を得ることができます。問題とされた箇所だけに立ちどまって考えるのではなく、つねにそれに関連する会話や心情・行為の描写に目配りして読む癖をつけておくとよいでしょう。