先生の研修
フル~イ話で恐縮ですが、私の高校生時代のことです。
公立高校でしたが、高校生になったときの、ちょっとしたカルチャーショックを今でも鮮明に覚えています。勉強の内容が格段に難しくなったことです。各科目ごとに問題集や参考書が与えられ、教科書はう~んと分厚くなり、そしてその活字は小さくなり、それだけでも大変なできごとなのに、先生たちは生徒の理解状況など気にもとめていないふうで、どんどん授業が進みます。
業者の模擬試験もなかったように思います。自分の偏差値や受験校の偏差値といったものも殆ど記憶にありません。受験校を判断する実力テストは高校の先生たちが作成し、浪人生も高校にやってきて一緒に受験していました。1年生から浪人生までトータル(1600名くらい?)で席次が出る科目もあって、1年生なのに100番内に躍り出る子もいて刺激的でした。先生たちは教科学習に熱心で、何人かの方が毎週大学に通って聴講生として勉強しているとおっしゃってました。中学とはちがうなあ、と実感しました。
と、ここまでが枕です。
時代は進んで、現在です。現在も先生たちは勉強していますよ。本校でも4月以来、多くの先生が研修に出かけています。
私も、1月6日、駿台教育研究所主催の「古文 教える側として考えておきたいこと」を受講しました。
50分授業・6時間の講義でしたが、受講する側にまわると、普段の自分を、合わせ鏡のように見ることができ、大変勉強になります。「確認のための繰り返しが多いなあ」「リラックスのための脱線から元に戻すのに苦労してられる」など。
内容はタイトル通りでしたので、受験生にダイレクトに役立つというわけではありませんが、基本語彙の分析など、さすが受験のプロと思いました。一部をあげますと、
☆用いられている動詞の延べ語数(源氏物語)
1位 四段活用 53.3% 2位 下二段活用 22.3% 以下 ラ変活用(9.9%) サ変活用(6.2%) 上一段活用(4.5%) 上二段(2.2%)
上二段活用の動詞ってあまり用いられていません。
☆用いられている助動詞の分析(宇治拾遺物語)
1位 けり 2664回 2位 たり 1645回 3位 なり(断定) 1433回 4位 む 1043回 5位 ず 922回 6位 ぬ 815回 7位 つ 526回 以下 べし る・らる す・さす・しむ き ・・・と続きます。分析の題材が説話文学なので、「けり」が多いのは納得ですが。
もちろん、このような分析はごく些細な部分で、講師の方は、『源氏物語』五十四帖の逐語訳を毎日、自分に課しているとのことでした。