答案の品格
答案は,自分の考えを採点者に伝えるメッセージ。そこには,採点者への配慮がなければならない。驕らず,暴れず,大人しすぎず。はやりの言葉で言えば「答案の品格」,かな?
「漢字の試験は、トメハネまできっちりと書くこと」
入試で漢字の書き取りの問題が出たら,トメ・ハネまできっちりと書くこと。あってたらいいというものではない。採点者はトメ・ハネまできっちりと採点するそうだ(文章題等,他の問題については出題意図が違うから,そう神経質にならなくてもいい)。
「答案に余計なことは書くな」
いくら,メッセージだといっても,イラストや顔文字で表現するのは御法度。いつものノリでコメントを書いたつもりだろうが,場所が場所だけに,ブチッてキレる採点官もいるのだそうだ。
日本で3本の指に入る国立大学の先生は「ふざけている,よほどマイナス点をつけてやろうかと思った」と,後々まで憤慨されていた。神経がピリピリしている採点官に余裕はないのである。顔文字を見てニコッてする人はまず,いない。
「薄い字,濃い字はダメ」
字の濃さは採点に全く関係ないかといえば,そうではない。微妙にあると考えた方がいい。
薄い字は、とにかく読みづらい。さらに,小さい字だったらもう最悪である。何百枚(いや,千枚は超える場合も)もの答案を短期間に処理しなくてはならないのだから,判読するために時間を費やされると思うと,採点官の心情はマイナスに働く。もし,こういうくせのある人がいたら,今からでも遅くはない,鉛筆の芯の固さを変えよう。
では,濃い字を書けばよいかというと,そうでもないらしい。濃すぎて目がチカチカし,頭がぼーっとしてくるのだそうである。何でも度を超えると得するどころか,損する方が多い。
マークシートでも事情は同じ。機械だjから疲れはしないが,読み取り不能だと言って,ペッて吐き出すんだそうだ。鉛筆の芯の固さに指定があるのは,そう言うミスを少なくするためなのである。よく売れているからHBにしたのではない。
答案を「読んでもらう」という謙虚な気持ちを忘れず,標準的な濃さで書くということを心がけておきたい。
「丸文字,ミミズ,斜めに走る」
最所はその形から正しい文字を推測し,一字一字,つい,声を上げて読んでしまう。それでやっと意味がつながる。そのとき,まるで象形文字を解読,大発見でもしたかのよう。当然,採点が厳しくなる。
「数学の答案」
文章を図やグラフで表現するということは大切だ。何を問われているのか,問題の内容把握の手段としても大切だと思う。これができている答案とできていない答案では,明らかに出来具合に差がある。
記述式の問題では,やはり筋道立てて論理的に記述していくことが大切だ。計算の羅列のみでつなぎ言葉がひとつもない記述の答案がよくあり,やはりどこがどう繋がるのか,なにが理由でその結果どういう結論が導かれるのか,読み手にわかるように書いてほしい。
計算は一行一行ていねいに進めること。ケアレスミスが非常に多く,方針は正しいのに残念だという答案が毎年かなりあるそうだ。