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キャリア教育(1)

 中学3年生の「職業人インタビュー」や高校1年生の「職業人に学ぶ」でお世話になっている宝塚・武庫川ロータリークラブの例会で、「キャリア教育--本校での取り組みについて」、お話しさせていただく機会がありました。以下、内容を一部掲載します。

キャリア教育とは・・
「キャリア教育」という言葉が、私たち教育関係者の間で流布するようになって久しいですが、一般の方々には耳慣れない言葉かもしれません。
 キャリア(職業・経歴)が、教育とどうつながりがあるのか。というところから、生徒に対し、「職業に関する知識や技能を身につけさせる」「適切な職業選択をさせる」教育だと思われているようです。
 文部科学省のリーフレットには、「児童・生徒一人一人の勤労観や職業観を育てる教育」とありますが、私は「生徒自身が、現在と未来をつないで生きる力をつける教育」「将来にわたって社会の中で生きていく力をつける教育」と考えています。
キャリア教育の背景 
「キャリア教育」の必要性がいわれるようなったのは、「フリーターの増加」、「モラトリアムの低年齢化・長期化」など、仕事に関する若者たちをとりまく問題が表面化してきた頃からです。なぜ、こうした問題が起こるのか。世の中で何が変わったのか。子どもが変わったとは考えにくいですから、変わったのは子どもたちが生きる環境の方だと思います。環境が変わったのに、教育内容が昔のままであるというこのギャップが、いろんな問題を引き起こしているのだと考えられます。
 たとえばIT化。携帯電話の普及は、言葉の単純化を生み、きちんとした文章表現をしなくてもよくなり、むしろ、文章表現にしない方がよいとして新しい言語形態を作り出しました。そういう子どもたちが、いざ、社会に出ていったとき、単純化された言語では当然通用しません。 日本語を習得済みの大人が日常的に携帯電話やパソコンを使うのとは意味が違います。日本語の能力と文章表現力とが不足した子どもたちは、社会で他者とのコミュニケーションがうまくとれないまま、過ごさねばなりません。
 つまり、ここ数年、大人と子どもが大きな環境変化による刺激を同じレベルで浴びているといえます。社会で必要とされるさまざまな能力を育てられる機会が得られないまま、大人と同じものに接しているというのが現状です。
 現在の教育の枠組の中で、生徒にコミュニケーション能力を含む社会性をもたせたいと考えたのが、私の「キャリア教育」の始点です。(明日に続く)