« 明日の国公立2次試験に備えて | メイン | 不本意の春(1) »

入学前の諸君へ

 前期日程を受験した諸君は首尾のほどはどうでしたか。吉報を待っています。

 今回は入学試験に合格して、進学先を決定した諸君に対し少しお話ししようと思います。

 諸君は卒業式を無事に終えた今となっては、入学手続きを済ませれば、あとは入学式を待つばかりとなったわけです。それまでの間、まだ1ヶ月以上の猶予期間があります。その時間を利用して以下のようなことをしてはどうでしょうか。

 後輩のための受験報告、体験報告について:
 推薦入試、AO入試に関しては大学により方式が様々で、しかもそれに関する情報は意外に少ないものです。受験体験は記憶の生々しいうちに受験報告、受験体験記として残しておいてください。受験校の面接の方式、質問内容、小論文などの出題内容、出題傾向をはじめ、さまざまな情報は後輩へのアドバイスとして貴重なものです。どんな形でも構いません、是非記録に残してあげてください。

 進学先の学校に関する情報について:
 もちろん受験前からあらましは大学の発行しているパンフレットなどで充分承知のことと思いますが、これから何年間か自分の生活を託するわけですから、学校側の発信した情報だけではなく、実際に自分の目でいろいろ確かめてみてください。まさに「百聞は一見に如かず」です。カメラを通してみた場合とは違った生の風景、生の空気、生の雰囲気が伝わってこます。春のオープンキャンパスに受験生に便乗して参加してみるのも一法です。勿論これから学ぼうとする学部・学科の内容や、学ぶ内容自体に関しては予め調べてみることは必要です。これも大学側の発信するシラバスや教授陣に関する情報だけではなく、外部からの客観的情報もインターネットなどで調べることができます。学問の概要などは新書版などで知ることができます。また快適な大学生活のために、学校周辺を地図で調べたり、または実際に出向いて学校の周囲の環境をよく調べて見ると良いでしょう。書店、古本屋、飲食店、コンビニエンスストア、ショッピングセンター、図書館、博物館、美術館、映画館等々、学生生活を円滑かつ充実して送るために必要な施設等をチェックしておくとよいでしょう。特に、大学周辺にある古本屋には大学の先輩たちが残していった参考書や教材などが並んでいて、辞書や参考書などが格安に手に入る場合があり結構便利なものです。普通は汚された本を買うのは厭なものですが、ときには、教材として使われた参考書の中に、授業中の書き込みが残っていたりして、かえって重宝な場合があります。

 読書について
 受験勉強の真最中に無性に本が読みたくなって困ったというような経験はありませんか。受験勉強のため自分の好きな本も読めなかった不自由な思いをしたでしょうが、今や時間はふんだんにあります。こんなに何ものにも束縛されない期間というものは生涯でもそう頻繁にあることではありません。こんな時期にはまとまった読書ができるので、大きなもの、たとえば大長編を読むこともできます。惰性的にだらだらと無為に過ごすのはやめて、今まであまり本を読まなかった人も是非読書の習慣をつけるように勧めます。これから学ぶ専門分野に関した本も良いし、ジャンルを問わず、興味のままに手当たり次第に読むのも良いでしょう。実際、功利的な目的なしに本が読めるのはこの時期と大学時代ぐらいなものです。そして功利的な目的なしに読んだときの方が大きな発見があったり、突然展望が一挙に開けたりするものです。これは衣食に不自由しない17・18世紀の貴族たちが科学上の大発見をしたのは、何ものにも囚われずに自然という書物を読んだからでしょう。
 話が少し大袈裟になりましたがこの時期に読書の習慣をつけておくことは大学に進学して専門課程に進めば多くの文献を読まなければならず、当然速い読書スピードが要求されることになりますから、このとき培った読書力が大いにものをいうことにもなるかもしれません。

 文責: 山本正彦