美子の部屋~私の受験生活 1960年代 パート2~
今年も1月18日が近づきました。われわれ昭和25年生まれの人間にとっては忘れ難い日です。私の場合は教職についているからで、普通の人はそうでもないかも知れませんが…昭和44年のこの日、東大安田講堂が陥落し、全共闘の運動が一つの区切りをむかえました。(官房長官を更迭された仙石さんもこの渦中にあった人ですね) 安田講堂の陥落つまり機動隊導入による安田講堂の封鎖解除後、20日には東大入試中止が決定しました。陥落した安田講堂の壁には「連帯を求めて孤立をおそれず」ということばが残されていた…というようなことは、大学生になってから知りました。
われわれ高校三年生は前年秋から、全国の大学で吹き荒れる学生運動を前に大学入試もできないんじゃないかという報道に不安を募らせていましたが、やはりリアリティーがないお話です。一方そんな大学に行っても意味がないと煩悶した高校生も多くいましたし、いま思えばそれは正しい態度ですが、私もふくめて多くの高校生はそちらがわではありませんでした。とにかく大学受験はやらねばならない!
さて、東大を受けるわけじゃないわれわれも、ドミノ現象で12月に懇談して決めた志望校を変更することに…評論家諸氏は東大入試は今後10年はできないなんて言うし(現実には1年で復活して、そんなことなら浪人したのに…という人もいましたが)とにかく東大入試のない入試の年を迎えました。
私はというと、お正月から自分の部屋のラジオも切って勉強しました。それですごい効果があったとも思えないけど、「集中力や!」と思ったんでしょうね。気持ち、気持ち。
ところが、思わぬ伏兵が待っていました。この年はA香港型というインフルエンザが新型インフルエンザとして大流行して、はやりものに弱い私はすっくりかかってしまい、高校の卒業式にも出られないという有様…受験生諸君何が大事といって健康ほど大切なものはありません。体調万全でないと実力も発揮できません。
2月に本番の人も3月に本番のひとも今からはまず、健康に気をつけること!
私は試験前には一応回復していたのですが、久しぶりの外出で疲れたのか、大学の近くの旅館で氷枕を用意してもらうという事態でしたが、寝たまま参考書読んでいました。いま思い出しても涙ぐましい受験生です。しかも、朝起きたら一面の雪、銀世界でした。この年は雪が多く、試験開始も1時間ぐらい遅れるし…ほんといろいろあった大学受験でした。さて、さまざまな困難を乗り越え、合格したかどうか?それは3月15日までわかりません。
最後にもう一度、受験生諸君、くれぐれも健康に気をつけて頑張ってください。