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勉強方法シリーズ (7)

[3] 脳の研究から考えられる合理的学習方法とは?-5つめのポイント-
(5)経験記憶と方法記憶が重要な記憶。
① 想像するという行為は、海馬を強烈に刺激し、記憶を高める。想像は「知識の精緻化」と「海馬の活性化」の二つの利点がある。想像すればするだけ、はるかに記憶に残りやすい。これは、知識記憶から、経験記憶(経験によって得られた記憶で、大脳の前頭葉付近に形成される)になったから。経験記憶にすると、忘れにくいし、知識が正確になる。経験記憶のもう一つの作り方は、覚えた情報を人に伝えること。しかし、経験記憶は、何度も使わないと、また、きっかけがないと思い出せないものになる。  <他人に教えるほど、自らが賢くなる。>

② 耳や手を使った学習は、眼を使った学習より、経験記憶をつくるには効率がよい。小学生のころは知識記憶能力が高いが、高校に入ると経験記憶が優勢になるので、丸暗記ができなくなる。また、一度記憶したら忘れないのが、方法記憶。方法記憶とは、「自転車に乗れるようになった」というように、体で覚える記憶。公式を覚えるのは、知識記憶だが、これは簡単に忘れてしまうし、使い方がわからない。公式の導き方を理解したとき、方法記憶ができたと考えるとよい。公式は忘れても、導き方は忘れないし、応用も利く。この理解する方法を身に付けるのが、方法記憶。方法記憶は、学習している間、絶えず作動していて、頭の中で、どうすればもっと要領よく関連付けれるか、パターン化したり、法則性を考えている。これが、理解力がある人の脳。方法記憶は、どれだけ多くの問題を解き、悩んできたかによって形成される。将棋の対局中の盤面を再現できるのは、方法記憶である。数学や理科は特に方法記憶を高める科目なのです。
この公式の導き方を友達に教えたり、図を使って説明したりと五感を使って経験すると、経験記憶となる。
子供から大人になるにつれて、最も早く発達するのが、方法記憶で、次が、知識記憶、そして最後に発達するのが経験記憶である。幼児期に行った旅行などの記憶がほとんど残っていないのは、幼児期に経験記憶の中枢が発達していないから。その代わり、幼児期に「ピカチュー」などのいろんなキャラクターの名前を覚えることができるのは、知識記憶の中枢が発達しているからである。中学、高校時代になると、知識記憶中枢の発達が止まり、経験中枢が発達してくることを知り、方法記憶と経験記憶を高めていってほしい。
   天才は実際には天才でもなんでもなく、方法記憶を使って、要領よく記憶しているに過ぎません。個々の神経細胞の性能や数は誰の脳のものでも、ほとんど同じで、まったくといってよいほど差がないのです。要するに、脳は「使い方」(方法記憶)しだいなのです。
   方法記憶を使えば、その理論の根底にあるすべての物事に応用できるのです。どんな知識も理屈を理解して覚えることにより方法記憶が出来るようになります。これは理数科系の教科に限らず、国語、英語、社会でも同じことが言えるのです。歴史的な事実やその国々の経済状況、時代背景、その国の宗教やものの考え方を理解すれば、多くの事象が根底からつながってきます。知識の丸暗記をやめ、背景の理論を理解することを大切にしてください。
方法記憶を磨き、経験記憶を高める方法こそ、合理的な学習法といえるのです。