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図書館の歴史 ②

<日本編 > 2 庶民だって読みたい
近世になると、キリスト教伝来や、豊臣秀吉の朝鮮出兵などの影響で活字と印刷の文化が広がり書物の刊行が始まります。以降出版活動が盛んになり、徳川家康は幕府の教育機関、学問所に「文庫」を作らせ、これが現在の学校図書館になります
寺小屋も普及してきて庶民の識字率も上がり、絵草紙や黄表紙などの書物を読みたいという要求が高まりますが、紙が高価なため庶民にはなかなか手が届きません。そこで現れたのが貸本屋です。本を背負い得意先を回り、置いてある本を入れ替えたり、所持している本の修理などのメンテナンスもこなす本の何でも屋だったそうです
また、店を構える貸本屋もいてこれらが庶民の図書館の役割をはたしていました
井原西鶴や山東京伝は当時のベストセラー作家ですね

H24.5.30eigyou.jpg一方、学術的な本はというと、学者や僧侶が塾を開き、自分の蔵書を公開していました。江戸や大坂だけでなく地方でも盛んで、書物を読むだけでなく、同じ趣味のサークル活動(俳句や芸能)の場にもなりました
人が集まれば書物を寄付する人も増え、珍しい本があると聞くと遠方から高名な学者も訪れます。遠方から来る人たちのために本を読む場所をつくろう、せっかく有名な先生が来ているなら講演会をしてもらおう、じゃあ会場がいるでしょう、茶室も作りましょう、という感じですっかり文化機関としての役割を担うことになります
規模は違うものの、現代にみられる図書館やホール、カフェを備えた多目的公共施設のようですね


  江戸の貸本屋    「復元 江戸生活図鑑/笠間良彦」(柏書房)

*ちなみに現代のレンタルショップTsutayaは、この時代の出版プロデューサー的な存在だった蔦谷重三郎の名前に由来しているそうです