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図書館の歴史 ④

<日本編> 4 「知る自由」のために

昭和期に入り、世の中が戦時体制になってくると図書館も思想統制の対象になってきます。「健全ナ図書」の選択・提供から、戦争に協力する図書への読書指導が命じられます
各地の図書館で検閲が行われ、蔵書の没収や閲覧禁止。厳しくなった取り締まりは出版物から閲覧者の思想調査にまでおよび、人々の言論の自由を脅かしました
社会科学関係の本はもちろん「日本地理体系」といった図書でさえ、防諜上の理由で閲覧禁止になっていたそうです
戦中は召集で男子職員も減り、就労の制限がされる中でかろうじて開館。しかし、スチール製の書架などあらゆる金属類は軍によって回収された上、建物も罹災者の収容施設や託児所に、中には軍司令部に転用された所もあったそうです
戦火が激しくなると空襲から貴重な資料を守るため本の疎開も行われました。それでも各地でたくさんの図書館が被災、長い長い年月をかけて収集した資料が一晩で灰になってしまいました

戦後になりGHQの指導の下、教育の民主化が進められ、まずCIE(民間情報教育局)図書館が設置されます。米国の発想を押し付けるだけでなく、日本的なものにも配慮しながら、戦後の図書館が動きはじめました。社会教育改革の中、図書館は「教育施設」ではなく「総合文化機関」というポジションをめざします

そして紆余曲折の後、基本的人権の一つ「知る自由」のため、資料と施設を提供するのは最も重要な任務であるとし、1954年「図書館の自由に関する宣言」を発表します

1 図書館は資料収集の自由を有する
2 図書館は資料提供の自由を有する
3 図書館はすべての不当な検閲に反対する

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ある人気シリーズ作品第1巻の目次。ここで目にした人も多いのでは。何の作品かわかりますか? (この作品では1979年改定後の4項目を引用しています)