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ノーベル医学・生理学賞

 先日、ノーベル医学・生理学賞を受賞した京都大学の山中伸弥さん。山中さんは2006年に皮膚の細胞に遺伝子をくわえ、あらゆる組織や臓器の細胞に変化する可能性をもった細胞の作成に成功し、iPS細胞(人口多能性幹細胞)と名付けました。再生医療における世界的大きな1歩です
 「患者さんを救いたい」という医師としての一貫した信念を原動力に研究を続けた山中さんは、待っている患者さんのためにも、少しでも早く臨床応用ができることを望んでいます。国内では網膜への臨床応用が来年あたり行われるだろうと言われていましたが、今朝の新聞によると、すでにアメリカでは人への臨床応用が行われたようです。心臓の機能が低下した患者に対し、本人の肝臓から採取した細胞で作成したiPS細胞を増殖させ心臓に注入。その後、患者は回復、健康な日常生活を送れているそうです
 同じ医師でも、大学などで基礎研究をする山中さんのような立場と、直接患者を診る臨床医という立場があります。どちらも重要なポジションです

 また、山中さんは日本の論点2011/文藝春秋編の中で、研究人生を支えてくれた言葉として「VW」をあげています
「VはVision、Wは Work Hard。はっきりした目標をもち、それに向かってハードワークせよ、という意味である。夢中になって一生懸命やるのはいいが、注意しないと、その仕事自体に満足して、その先のビジョンが見えなくなることがよくあるのだ。それでは無駄な努力に終わる」 (本文より) 勉強にもいえることですね

 関連する本の紹介です。この数日、テレビや新聞でiPS細胞とは?と何度も取り上げられていますが、再生医療への道を切り開く iPS細胞 (ニュートンプレス) では絵や写真を用いてわかりやすく、詳しく説明しています

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 また、老化の加減が人によって違うように(老眼になっても髪はふさふさで真っ黒の人もいれば、目は問題ないのに髪は真っ白な人もいる)、臓器もそれぞれ人によって機能の低下加減が違います。再生医療が進んで、病気でなくても機能が低下した臓器をiPS細胞を用いて置き換えてやれば、ヒトは最大寿命である120歳まで生きられるのではという可能性をかいた ヒトは一二〇歳まで生きられる/杉本正信(筑摩書房)  分子生物学に興味のある人は読んでみては?