« ノーベル医学・生理学賞 | メイン | 思考のレッスン »

丸谷才一さんのこと

 先日、小説、評論、エッセイ、翻訳とあらゆる文筆分野で活躍されていた丸谷才一さんが亡くなられました
「不思議と思うことを大事にしてきた」「学術も芸術も面白がることが大事」と語っていた丸谷さん。旧仮名遣いで書かれた独特な文章、ユニークなエッセイや日本語に関する評論など、著書も多数です

     maruya2.jpg

  桜も さよならも 日本語(新潮社)
 テレビやラジオで耳にするトンチンカンな敬語やアクセント、ら抜き(見られる→見れる)に苦言を呈したり、国語の教科書や大学入試国語問題などについて論じている1冊
 「国語教科書を読む」の項では、国語の授業で取り上げられる読書感想文に対して、読んだ本について何かを書かせようとするのではなく、読むことをすすめ、あとは学校図書館に面白い本を用意しておけばそれでいい
 例えば、男の子たちにこれから野球をしようと提案すれば皆喜ぶけれど、その後に各自、試合の事を作文に書くよう義務付ければ、皆ゲンナリするだろう。読書感想文もそれと同じ。読書から喜びを奪ってしまう。まず教えなくてはならないのは、快楽としての読書である

 「快楽としての読書」 魅力的な言葉です。そんな体験ができる場所にしていけたらいいな、と思います