思考のレッスン
この時期、自己推薦文や小論文対策に、頭をかかえている高3生も多いと思います。そこで丸谷才一さんの著書からもう1冊紹介します
この本面白いよと誰かに伝える時の心の弾みと、どう書けばその本の面白さが伝わるのかという知的好奇心をもって、文芸の中に「書評」というジャンルを確立させた第一人者でもある丸谷さんが、考えるコツ書くコツを語ったのが、思考のレッスン(文藝春秋) です
まずは考えるコツ。物事を考えるためのベースとして、本を読むこと、名文に接し名文に親しむこと。 読書によって情報が得られ、考え方、書き方が学べる。それが自分の手持ちのカードになる。読み進めていくうちに「不思議だなあ」と自発的に感じたことは、自分の中で良質の『謎』になる
でも、その答えを探そうと慌てて本を読んでも、そう簡単に見つかるものではないので、まずは考える。自分が今までの人生で手に入れてきた手持ちのカードと『謎』を突き合わせ、あーでもない、こーでもないと考える
次に書き方のコツ。文章は書きながら考えるのではなく、頭の中でワンセンテンス(1文)を完成させてから、一気に書く。もし、筆が止まってしまったら、今まで書いた文章を始めから読み返す。「だった」「だった」「だった」や「ます」「ます」「です」「です」が続くと、それが気になって肝心の中身がわからなくなる
書き始めたら、とにかく前へ向かって着実に進み、逆戻りしたり、休んだりしないこと。字数が足りないからと言って水増しするのもよくない。考える時間が短いから、書く時間が長くなる。たくさん考えて書く時間を短く。考えること、それにつきる
丸谷さんは言います。忙しい時こそ本を読まなければ
ならない。暇な時は本を読まずに思考しよう。忙しい時に
読んだ本を土台に暇な時にゆっくり考える。それが大事
思考するのにも、『謎』を解くときにも手持ちのカードは
たくさんあった方がいいですよね