新着図書紹介 4
今年も3月11日がめぐってきました。今日は震災に関連した本の紹介です
波 蒼佑、17歳のあの日からの物語 /リシャール・コラス (集英社)
著者はファッションブランド・シャネルの日本法人代表取締役社長で、作家としても活躍するリシャール氏。震災直後から社内ボランティアチームと一緒に被災地に向かい、肌の手入れどころではない避難所の女性たちにマッサージやメイクを行い、少しでも気持ちが紛れるようにと活動していたそうです。
何度も通い、話を聞くうちにある女性がつぶやいた「時がたてば、なにもかも忘れられてしまう」という一言を聞いたとき、ここで起こったことを、風化させてはいけないと思い書き上げたのが本書です。フランスで出版されたものが、昨年日本で翻訳されました
3世代の大家族で気仙沼に暮らす蒼佑は、小さい頃から、ひいおばあちゃんに三陸地震の話を聞いて育ちます。3月11日、17回目の誕生日を迎えたその日、経験したことのない激しい揺れと話に聞かされていた大津波に襲われます。家族も故郷も、初恋もすべて奪われ絶望する蒼佑の前に現れたのは、東京にいるいとこの瑛太。
リシャール氏は、訪ねた先で聞いた話を作品の中の人物に語らせています。そして震災後、激しく心を揺さぶられたという被災地と東京の間にあるギャップや温度差を、蒼佑と瑛太、2人の視点で描いたのだそうです
震災が教えてくれたこと /今野公美子 (朝日学生新聞社)
図書室でもおなじみの朝日中学生ウィークリーの記者である今野さん、震災による津波で仙台に住むご両親と妹さんを亡くされました。仙台に知り合いもなく情報も少ない中、東京から仙台へ向いご家族を探す様子を記録された1冊です
報道で津波の様子を目の当たりして、それでも望みを捨てず被災地に向かい、避難所をまわり、同じ境遇の方たちと出会い、自分を奮い立たせて家族を探します。そして、身元確認
親戚、近所の人、警察、自衛隊、立ち寄った避難所の方たち、いろいろな方と出会い、助けられてきたそうです。そして「がんばって!」じゃなくて「がんばってるね」「がんばったね」という言葉に元気をもらってきたそうです
忘れずにいることは、とても大事なことです