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元祖 社会派小説

 「やられたら倍返しだ!」のセリフで話題になったドラマ「半沢直樹」。大手銀行を舞台に正義感あふれる主人公が、組織内の悪に立ち向かう痛快社会派エンタテイメント作品ですね。この作品の原作になった オレたちバブル入行組、 オレたち花のバブル組/池井戸潤(文藝春秋) は図書室でも人気があります。
 池井戸さんはこれまでも、下町ロケット(小学館) で大企業に奔放される下町の工場を、空飛ぶタイヤ(講談社) では自動車会社のリコール隠ぺいなどをテーマに様々な社会派小説を書きあげています。
  
 社会派小説といえば、代表的な作家・山崎豊子さん。幅広いテーマ、壮大なスケールの長編作品が人気の山崎さんが先日、亡くなられました。
 大阪出身で毎日新聞に記者として勤務、上司で同じく記者を経て作家であった井上靖さんから進められ小説を書き始めたのだそうです。吉本興業創設者の吉本せつさんをモデルに書いた「花のれん」で直木賞を受賞。元記者らしく綿密な取材や資料集めを重ね、以降数々の作品を生み出してきました。
 
中国残留日本人孤児の激動の一生を描いた『大地の子』

沖縄返還を巡る米国との密約を報じた新聞記者を主人公に、政界に挑むジャーナリズムのありかたを描いた『運命の人』

1985年に起こった日航機墜落事故を題材に、腐敗した航空会社に翻弄されながら生き抜いた1人の社員を描いた『沈まぬ太陽』

大学付属病院を舞台、対照的なふたりの医師を主人公に医学界の権威主義にメスを入れた『白い巨塔』
 どれも「悪しき体制への告発」が根底に描かれた骨太の作品です。

 他にも 『不毛地帯』 『二つの祖国』 『華麗なる一族』 など、多くの作品が映画やドラマで映像化されています。 そんな山崎さんの作品を「登場人物も男性なら、物語の視線も男性、硬派で男らしい小説」 作家の浅田次郎さんが今朝の朝日新聞でそう表現していました。

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  山崎さんの作品の多くは図書室に所蔵しています
  どの作品も大作ですが読書の秋です、挑戦してみませんか?