ノーベル文学賞
今年のノーベル文学賞はカナダの作家アリス・マンローさんに決まりました。書店や図書館勤務を経て作家になったカナダを代表する現代短編小説の名手です。
新聞記事等によると彼女の作品は『カナダの地方に生きる人々の心の機微が繊細に描かれている。観察力や描写が素晴らしく、何気ない日常を描いても心にひびくいてくる。近年は老いや死などをテーマに取り上げていて、国際的に高く評価されている』 のだそうです。
おりしもここ数年、同賞の候補に挙がっている村上春樹さんが編集翻訳し先月刊行された 恋しくて(中央公論新社) にマンローさんの作品「ジャック・ランダ・ホテル」が収録されています。
この本はサブタイトルに、TEN SELECTED LOVE STORIES、とある通り「恋」をテーマにしたアンソロジーです。世の中には素直で素朴なものから、ちょっと屈折した一筋縄ではいかないものまで、様々な形の『恋する心』が存在します。だから恋愛小説だっていろんなレベルがあっていいんじゃないか、これまで村上さんが読んで印象に残ったラブ・ストーリー、初心者向けから上級者向けまで9編と自ら書き下ろした1編が収録されています。すべての作品には村上さんの解説と恋愛甘苦度(甘味と苦味を★で表示)付き。
ちなみに、マンローさんの作品は間違いなく上級者向けだそうです。10代の皆さんにはちょっと手ごわいかな・・・。
表紙には叙情的な美人画で知られる竹久夢二さんの作品が使われています