こんな本を読んだ ②
本日、登場してくれたのは岩瀬亮介先生。
中学1年C組担任で、担当は国語。演劇部の顧問です。そして、先生のなかの図書係でもあります。さて、岩瀬先生、どんな本、読んだんですか?
こんな本を読んだ。
わかりあえないことから コミュニケーション能力とは何か/平田オリザ (講談社)
昔から人とわかりあえないと思って生きてきた。でも、わかりあいたいと思って生きてきた。そのために傷ついたこともあるし、相手を傷つけたことももちろんある。
他人は他人であって自分ではないのだから、わからないのが当然。でもわかりたいと思うのも当然だろう。人とわかりあいたくないという人はいないはず。
では、どうすればわかるようになるのだろう。
人とわかりあおうとするときに、大切なのはコミュニケーションである。でもそもそも、コミュニケーションって何なのだろう。どうすれば人とうまくコミュニケーションがとれるのだろう。
そして、企業が新入社員に最も強く求めるというコミュニケーション能力とはどうすれば得られるのか。本書は、そうしたことを考えている人に是非読んでほしい。
内容は、タイトルの「わかりあえないことから」の一言に集約される。他人は他人、絶対にわかりあえない。だからこそ、そこからわかりあおうとする努力が生まれる。それがコミュニケーション能力を養う第一歩である。
本書で最も強く印象に残ったトピックは「冗長率」である。
冗長率とは会話や文章の中にどれくらい意味伝達とは関係のない言葉(具体的には「まぁ」「えー」などの間投詞)が含まれているかという数値であり、筆者は人と人とがわかりあうための「対話」にこそ冗長率が高いという。
さらに、コミュニケーション能力の高い人は、この冗長率を時と場合によって操作できる人だという。これを読んだ時、目から鱗が落ちた。自分の意見をはっきり言うとか、はきはきと目を見て話すことがコミュニケーション能力の高さではなかったのだと気づいた。
そして、若い時分に好きだった歌の歌詞につながった。「とまどいながらす言葉は何よりもきれいさ」(BLANKY JET CITY「水色」)
筆者の平田オリザさんは劇作家・演出家でもある。劇団「青年団」を主宰していて、一年に一度くらい、伊丹のアイホールに公演にやってきます。そちらもおすすめです。また、オリザさんは各地で中高生向けの演劇ワークショップをやってらっしゃいます。そちらは、さらにおすすめです。