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おかえりなさい、若田さん

 ISS(国際宇宙ステーション)で日本人初のコマンダー(船長)を務めた若田光一さんが乗る、ロシアのソユーズ宇宙船の帰還カプセルが、昨日カザフスタンの草原に着陸。笑顔の若田さんが船外に姿を見せました。
 若田さんは、昨年の11月にISSに到着、今回の宇宙滞在期間は述べ188日。その間におよそ地球を3000周!したそうです。
 この3月には第39代目のコマンダーに就任、米国人2名、ロシア人3名のクルーを66日間に渡り引っ張ってきました。

 志や目的が同じとはいえ、宇宙という特殊な場所でリーダーシップをとるのは並大抵ではありません。
 コマンダーになるための試験はなく、「なりたい!」と手を挙げてなれるものでもないそうで、その人のあらゆるパフォーマンスの積み重ねや結果が評価され選ばれるのだそうです。それだけにプレッシャーも計り知れないですね。

We are 宇宙兄弟~宇宙飛行士の底力/モーニング編集部・門倉紫麻 (講談社) 
 この中で若田さんが、コマンダーとして一番大変な業務として挙げているのがコミュニケーション。チーム内はもちろん、24時間体制でミッションをバックアップしてくれる各国の管制局と、クルーの代表としての円滑なコミュニケーションが要求されます。

 中国の老子は「有能なリーダーが仕事を終えた時、人々にはその事柄が自然に起きたように見える」というような言葉を残しました。若田さんはそんな透明人間のようなリーダーを目指しているそうです。
 そして、問題解決のための議論を行う時、「相手に逃げ道を残す」寛容さが、チームのハーモニーを保つのには大切だと話しています。

 若田さんを始めとした宇宙飛行士達に加え、マンガ「宇宙兄弟」にも登場する彼らを取り巻くスタッフ(宇宙服研究者、JAXAの広報担当者など)10名のインタビューで構成されています。

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 若田さんの著書は他にも 国際宇宙ステーションとはなにか(講談社) 前回の滞在をまとめた 宇宙で過ごした137日(朝日新聞出版) などがあります。  

 2011年にISSでミッションをおこなった元医師の古川聡さんの話を読むと、宇宙飛行士に選ばれたからといって、誰もがすぐに宇宙に行けるとは限らない。
ひたすら地上で訓練を続けること12年、その間に自分に足りないものを、あらゆる努力でもって身につけ、新しいタイプの宇宙飛行士像を作り上げたそうです。