人生80年
先日のニュースによると、日本人男性の平均寿命が初めて80歳を越え、80.21歳(2013年)になったそうです。女性は過去最高86.61歳、こちらは2年連続世界一です。男性の方は、香港、アイスランド、スイスに続き世界第4位。
平均寿命というのは、厚生省が毎年1回、各年齢の人が平均してあと何年生きられるかを表す「平均余命」の見込みを計算、そのうち0歳の平均余命を平均寿命として発表します。
「寿命」のしくみに関して、生物学的な視点から解説した1冊。
寿命はどこまで延ばせるか?/池田清彦 (PHP研究所)
細胞分裂を繰り返し誕生する私達、高等生物の体の中には、必要ならば分裂できる細胞と分裂が不可能な細胞の両方を持ち合わせています。その細胞の限界が120年。それがヒトの寿命というわけ。だから、どんなに頑張っても医学が進歩しても人間はそれ以上は生きられない。では、遺伝子組み換えやクローン技術によって、ヒトの寿命を延ばすことが出来るのか?
ちなみに、分裂できるの細胞だけで作られるヒトデやイソギンチャクはとても長生きで、非分裂性の細胞だけで作られている昆虫はリニューアルすることが出来ないので短命になる。
池田さんは、もし平均寿命が20歳上がって不老社会になったらと想像します(「ガリヴァ―旅行記」に出てくる不老の人々『ストラルソブルグ』のごとく)
戦後間もない頃の日本人の平均寿命はだいたい、男性:50歳、女性:54歳でしたから、70年足らずのうちに30歳ものびました。今後も医療技術の進展により平均寿命はまだ延びるだろう、でも現行の老人医療を見る限りQOL(quality of life:充実した豊かな人生)を保つ技術より、延命技術の方が早く進み社会的な負担が増える一方ではないか?と池田さんは案じています。
おまけに、元気なおばあちゃんが主人公のエッセイ。
モモヨ、まだ九十歳/群ようこ(筑摩書房)
著者の群さんのおばあちゃん・モモヨさんは1900年生まれ御年90歳(執筆当時) ディズニーランドに行きたい。パンダが見たい。6時間の新幹線の旅をものともせず、一人で東京にいる群さんのところに遊びに来た時の珍道中や、子ども時代、女学生時代など好奇心旺盛でおしゃれなモモヨさんの物語。