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ALSとアイスバケツチャレンジ

 近頃、話題になっている「アイスバケツ・チャレンジ」
スポーツ選手をはじめとした著名人が、氷の入ったバケツの水を頭からかぶる映像を目にした人もいると思います。チャレンジする様子の方が目立っていますが、本来、ALS患者と患者団体を支援するための募金イベントで、アメリカから始まり世界中に広がったものです。これまでALSを知らなかった人達も、この病気に関心をもつきっかけになっているそうです。みなさんはALSを知っていますか?

 ALS=筋萎縮性側索硬化症は、身体を動かすための神経系(運動ニューロン)が変性する病気です。変性することで体内で神経の命令が伝わらなくなって筋肉がだんだん縮み、力がなくなります。しかも進行性の病気で、今のところ原因が分かっていないため、有効な治療法がほとんどありません。(日本ALS協会HPより)
 研究機関が把握しているだけで、国内でも約9000人がこの病気を患っているそうです(H26.2)

 今日、紹介するのは、アメリカでの実話で映画にもなった
モリー先生との火曜日/ミッチ・アルボム著、別宮貞徳訳(日本放送出版会)

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 スポーツライターとして、名声も財産も手にしたけれど何か満たされないまま仕事漬けの日々を送る著者のミッチ。ある時、大学時代の恩師モリーの姿を偶然テレビで見かけます。ダンスが好きで茶目っ気たっぷりだったモリー先生。16年ぶりに目にしたのは、ものを噛むのもひと仕事、一日車椅子で過ごす、ALSという難病を患った姿でした。

 いてもたってもいられなくなったミッチは、モリーのもとへ駆けつけます。人生の意味を見いだしかねていた彼が、モリーと再会を果たし、毎週教えを聞くことで変わっていきます。

 授業は毎週火曜日。本はいらない。テーマは人生の意味。
 出来ることがどんどんなくなっていき、足先から這い上がってくる病、死を目の前にしても自分をあわれんでいないモリーに驚かされます。
 しかし、モリーも病の告知を受けた時は「深い穴の底に落ちていく思いがした」そうです。ただ、希望を捨てるか?残された時間に最善を尽くすか?と自問した時、死を人生最後のプロジェクトにしよう、ゆっくりと辛抱強く死んでいく私から何かを学んでほしいと願います。
 感情、後悔、愛、家族、・・・。モリーが亡くなるまでの14回の授業を、モリーの発案でふたりの「最終論文」としてまとめたものです。