錦織選手だけじゃ、ないよ
毎年、オーストラリア、フランス、イギリス、アメリカで行われるテニスの世界大会。この4つをあわせてグランドスラムと呼びます。
そのうちの一つ全米オープン、今年は連日の錦織圭選手の活躍で注目を集めました。日本人男子シングルス初優勝をかけて挑んだ昨日の決勝戦。残念ながら負けてしまい準優勝。でもその活躍ぶりでたくさん楽しませてもらえました。
元・プロテニスプレイヤーの松岡修造さんの著書 挫折を愛する(角川書店)には、松岡さんと親交のあるアスリート達のエピソードが語られています。
松岡さんの企画した合宿に参加した錦織くん(11歳)は、「内気で人前で話すのが苦手、プレッシャーに弱かった」そう。
その後14歳で単身アメリカ留学。しかし、もともと感覚派で説明するのが苦手なうえに言葉の壁にぶつかります。自分の状態や思いをうまく相手に伝えられない。そして度重なるケガ。不安や焦りが増すばかり。
そこで直面している困難な状況を「自分できちんと把握して対策を立てること」と意識して行動パターンを変えていきます。結果、身についたのが強いメンタルだったそうです。
トップアスリート達は、スランプやケガを一体どうやって乗り越えているのでしょう
そして、同時期に行われた全米オープン車いすの部にも素晴らしい選手がいます。男子の国枝慎吾選手と女子の上地結衣選手がシングルス・ダブルスともに優勝。単・複2冠!です。すごい!
常に勝つことを目標とするアスリートたちが、進化するためにいかにして「壁」を乗り越えてきたかを集めたルポルタージュ なぜあの時あきらめなかったのか/小松成美(PHP研究所) で国枝選手が紹介してあります。
日本で初めてのプロの車いすテニス選手である国枝選手は、9歳の時から脊髄腫瘍により車いす生活を送ります。でもその状況に、不自由を感じたり、絶望したことがなかったそうです。
11歳から始めた車いすテニスは、ツーバウンドまでOKというルール以外はコートもボールも通常のテニスと同じです。人一倍の努力を重ね17歳で世界へ。そしてめきめきと頭角を現し、現在、世界ランク1位で大活躍中。
ハンディキャップがあっても、プロのスポーツ選手として生活できることの前例になりたかった。自分を見て、障がいを持つ子ども達の夢のひとつに「プロ選手になる事」が加われば、こんなうれしい事はないと語っています。