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2月の図書だよりから

 作家・江戸川乱歩生誕120年を記念して、昨秋よりポプラ社からオマージュ作品が出版されています。
 江戸川乱歩は、日本で初めての本格的創作探偵小説家と言われ、探偵ものから怪奇幻想、少年ものまで幅広いジャンルにわたり数多くの作品を残しています。
 本邦初のシリーズ探偵・明智小五郎VS怪人二十面相や小林少年率いる少年探偵団など、読んだことがある人もいると思います。

 子どもの頃それらの乱歩ワールドに夢中になり、影響を受けて作家になった人達もたくさんいて、今回紹介するポプラ社の『みんなの少年探偵団』シリーズを描いたのがそんな人たちです。

みんなの少年探偵団/万城目学・湊かなえ他、
 
 5人の作家が「少年探偵団と怪人二十面相との対決」をテーマに描いてくださいと依頼され出来上がった短編集です。両者が対決すること以外は決まりがないので、舞台がオリジナルと同時代だったり、その前後を描いたものだったり。なので、乱歩が書いた15歳の小林君が少年や青年、おじさんで登場します。
 父親の死をきっかけに、祖父と暮らし始めた双子の兄弟。一人は見たものを写真のように記憶でき、もう一人はいくらでも桁数の多い計算ができる特技を持っています。初対面の祖父から「実は自分は泥棒だった」と告げられ、興味を持った2人は・・・。もしかして、おじいさんが怪人二十面相?

 シリーズ2作目は、幻の宝石が使われた高価な首飾りをめぐって繰り広げられる明智小五郎と怪人二十面相の争奪戦(これは王道ですね)を描いた 全員少年探偵団/藤本治
 3作目は、明智小五郎・小林少年・怪人二十面相の生まれた経緯となぜ戦うのかを描いた少年探偵/小路幸也 以降続刊。

 もちろん乱歩のオリジナル作品もそろっています。
少年探偵団シリーズ全26巻(ポプラ社) 乱歩傑作選全20巻(東京創元社)
携帯電話やネットがなく、夜になると街中でも普通に暗闇があって、怪盗が潜むことが出来た時代。「ネットで検索だ!」とはいかない時代の探偵小説です。

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 必ず小学校の図書室には置いてあった、大人にはちょっと懐かしい装丁です。 
生誕120年を記念して発行された江戸川乱歩の迷宮世界(洋泉社) は乱歩作品が徹底詳解されています。