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6月19日 桜桃忌

 「走れメロス」や「人間失格」など多くの作品で知られる文豪・太宰治は、昭和23年、入水自殺の末、自ら命を絶っています。その遺体が発見されたのが今日、6月19日。奇しくも太宰の39回目の誕生日でもありました。

 以降、この日は忌日として桜桃忌と名付けられました。死の直前に書かれた作品のタイトルが「桜桃」、太宰の故郷でこの時期に実る果実が太宰の生涯と珠玉の短編作家というイメージにふさわしいと、友人たちがつけたものだそうです。
 没後、半世紀以上たった今でも、太宰の眠る東京・三鷹市の禅林寺に多くのファンが参拝に訪れるそうです。                                     

 太宰はそれまでにも数回の自殺未遂、薬物中毒と、自らの名言でいう『恥の多い生涯を送ってきました』(人間失格より)
 周りからも、「暗い」「不幸」とか「問題児」「ダメ人間」、最近では「恋愛チャレンジャー」など評されています。
 作家・三島由紀夫に至ってはエッセイ・小説家の休暇 の中で太宰の性格を 「冷水摩擦と器械体操、規則的な生活で治るはず」 「治りたがらない病人などには本当の病人の資格はない」 とバッサリ。

 しかし、「もし文学者のオリンピックがあったら日本代表は太宰治以外いない」(井上靖) 戦後、若者がこぞって太宰ファンになったと嫉妬した(志賀直哉)
と、その才能は作家を始め多くの人々が認めるものでした。

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 そんな太宰については、現在でも多くの関連本が出版されています。
若いうちに読みたい太宰治/齋藤孝(筑摩書房)
 自意識が強い、孤独感がある、そんな作品を傷つきやすさとプライドの間で時には絶望しながら書き続けた作品だからこそ、若い世代に読んでほしい。
 自分のポジションが決まっていないのに、プライドだけは高く、悩んだり、焦ったりする、そんな世代だからこそ共感しできるのではないか?命を削るように作品を書いた太宰の、人間をとらえる目とそれを表現する力をぜひ感じで欲しい。

 他にも、女性著名人がひとつ作品を選びの解説する 女が読む太宰治/筑摩書房編集部(筑摩書房)、入門者のためのガイドブック 太宰萌え/岡崎武志(毎日新聞社)、何から読めば面白い?作品の味見もできる文豪ナビシリーズ・太宰治(新潮社) など。