新聞を読んでたら

土曜日の夕刊

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私は携帯電帯を持っていません。高校生のほとんどが所持しているといいますし、周りの友達もみんな持っています。親は持つことを反対しているわけではなく、むしろ、もしものときに連絡が取れるようにと勧めています。
パソコンは使っているのですが、携帯電帯はいつでも肌身離さず持ち歩き、ひっきりなしに電話やメールがくるイメージがあり、なかなか使う気になれないのです。これからの時代、マナーやルールを身に着けて、使い方に慣れてしまったほうがよいのではないかとも思います。でも一方で、持たない選択を貫きたい気持ちもあり、迷っています。私は携帯電話を持つべきなのでしょうか。
(東京都 高校生 女性(17))
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迷っているのでしたら、ぎりぎりまで携帯電話を持たずに生活をしてみるのがいいかと思います。というのも、あなたが大学生や社会人になったら、もう携帯なしでは勉強も仕事もできない現実がやってきます。携帯なしの生活を経験できるのも、あとほんの少しのあいだだけなのですから。
携帯が普及しはじめたとき、それは孤立して生活する人たちを、互いにリアルタイムで結びつけるツールとして注目を浴びました。携帯をポケットに入れておくだけで、いつでも誰かと「つながる」ことができる。その便利さと安心感に期待が集ったのでした。
ところが携帯が日常化するにつれて、今度は、携帯が生み出す「つながり」によって人々ががんじがらめに縛られて、不自由になっていくという現象が現れてきたのです。あなたも、このような不自由さを心配しているのでしょう。
現代の課題のひとつは、携帯的な過剰な「つながり」によって人々を縛るのではなく、かといって「つながり」を断絶して人々を孤立させるのでもなく、その両極端のあいだで、いかにして人々が安心して助け合える社会を作れるかというところにあると私は思うのです。
携帯を持つべきかどうかというあなたの悩みは、実は、「私たちはどういう社会を作り上げていくべきか」という問いに深く結びついています。すぐに答えは出ないでしょうが、考え続けることで一回り深い人間へと成長できると思います。