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あるべき場所 あるべき姿 あるべき人  再び

 また、旧聞を1つ。去る文化の日に、場所を移し、新装なった逸翁美術館を訪ねました。「逸翁」は阪急の創始者小林一三さんの雅号です。小林さんは、近・現代屈指の茶人としてたくさんの茶器をはじめとする美術品を蒐集し、そのコレクションが没後に美術館として公開されてきました。しかし、その美術館が様々な理由で休館となり、新館に移りました。
 さて、池田駅のほうから坂道を登ってくると、阪急文庫の北側に瀟洒な白い新館がありました。エントランスから展示室にはいると、その入り口に小磯良平画伯によって描かれた小林一三さんの肖像画が掛けられていました。それを見た瞬間に、違和感を覚えました。元の逸翁美術館は、現在地から少し東の小林一三さんが暮らしていた邸宅「雅俗山荘」をそのまま使用したものでした。その玄関を入ったところにこの肖像画が常に飾られていました。私はそれを見るたびに、いつも小林さんが生前と同じようにお客様を迎えておられるのだと思って見ていました。新館でも同じことを意図して展示されているのでしょうが、やはり本当の家を離れてしまったことで、こんなにも、絵に対する自分のイメージが変わるのかと自分でも驚きました。
 新しい美術館は、素晴らしいコンセプトで作られ、今後ますます充実していくことでしょう。そして、元の雅俗山荘は、来春には「小林一三記念館」として生まれ変わるそうです。小林さんの肖像画がどちらに展示されるのかは分かりませんが、2つの館が小林そんの想いを受け継いで共に続いて行くことでしょう。
  高Ⅱの皆さんも機会があれば、逸翁美術館を訪れて小林さんの想いに触れてみましょう。