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中学生に読ませておきたい本 8

 昨日12月8日は、ニューヨークの自宅前でジョン・レノンが射殺された日でした。27年前のことですが、当時高校生だった私にとっては衝撃的で、よく覚えています。しかし、私の両親にとっては、さらに遡ること66年前の真珠湾攻撃開始、太平洋戦争勃発のほうが大きな事件です。私にとっては親の世代から聞かされただけで、実感はまったくありません。今の中学生にとってはなおさらのことでしょう。太平洋戦争も、日清・日露戦争も、元寇も、すべて本の中の出来事にすぎないのではないでしょうか。
 今日紹介する本は、ダルトン・トランボ Dalton Trumbo の「ジョニーは戦場へ行った」です。第二次世界大戦が勃発した1939年に書かれたこの作品は、ベトナム戦争がおこなわれていた1971年にトランボ自身によって同名の映画にもなりました。第一次世界大戦でヨーロッパ戦線に送られたジョニーは、目や耳、両手両足を失う重傷を負い、<姓名不詳重傷兵第407号>として、前線の手術室に横たわっています。出征前の記憶が巡り、やがて自分のおかれている状況に気付いた彼は、枕に頭を打ちつけて、SOSのモールス信号を送り始めます…。
 映画はあまりに生々しくて中学生のお子さまに見せるにはショッキングな映像かもしれません。文章を追うだけでも、十分に戦争の異常さが伝わるだろうと思います。戦争に対してどのような考え方を持つかは個々に違うでしょうが、バトルゲームとは全く異質な現実を知っておくことは必要ではないでしょうか。A.M.