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ピーター・パン / Peter Pan

StatueOfPeterPan.jpgロンドン・ケンジントン公園にある銅像

 1904年の今日、ジェームス・バリー Sir James Matthew Barrie の童話劇「ピーター・パン Peter Pan」の初演がロンドンでおこなわれました。ディズニーやミュージカルで有名なこの作品も最初は戯曲の形で発表されました。「ピーター・パンとウェンディ」は、「二年間の休暇」「海底二万哩」「三銃士」などと同時期に福音館の古典童話シリーズで読んだ記憶があります。「うさこちゃん(ミッフィー)」や「くまのプーさん」と同じ石井桃子さんの訳でした。今はこのシリーズが文庫本になって、入手しやすくなりましたね。

 ピーター・パンはロンドンのケンジントン公園で乳母車から落ちて迷子となったことから年を取らなくなり、海賊フック船長やインディアンのタイガーリリーが住む異世界ネヴァー・ネヴァー・ランドに移り住んで妖精ティンカーベルと共に冒険の日々を送る永遠の少年です。ネヴァー・ネヴァー・ランドにはピーターと同じように親とはぐれ年を取らなくなった子どもたち(ロストボーイ)がおり、ピーター・パンは彼らのリーダー的な存在でした…。

 ディズニーだとピーター・パンの冒険や活躍がおもしろおかしく描かれていたように思いますが、原作ではバリーが後書きで「おとなのために書いた作品」と書いているように、けっして子ども向けの作品ではありません。純粋で一途な反面、善悪やけじめの見境がなく身勝手な子どもを象徴しているピーター・パンに対して、狡猾で頭の切れる海賊であると同時に合理的で紳士な一面も持つジェームズ・フック船長は大人を象徴しています。今まさに子どもから大人へと変化する過程にいる中学生の君たちに読んで欲しい作品です。A.M.