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生きる力をつけさせるために④

 今日は中学の卒業式でした。同じ三年間でも、中学生の時期ほど急激な変化を見せる時期はありません。今日卒業していった53期生の後ろ姿は、来月入学してくる56期生からは想像もできないくらい大人びています。しかし、三年前には彼らも56期生と同じ新入生だったのですね。さて、55期生も入学して一年が過ぎようとしています。毎日見ていると気づきにくいですが、ずいぶんと大きく心も体も成長しましたよ。

 前回は「聴く力」・「話す力」について書きました。齋藤孝さんの「話し上手 聞き上手」を下敷きにしています。興味があれば、一度読まれることをお薦めします。ちくまプリマー新書ですので、読みやすいと思います。三分間スピーチや偏愛マップ,段取りシートなど、話をしたり聴いたりする能力をアップさせるアイデアがたくさん載っています。来年度以降のホームルームにも取り込みたいと考えています。

 今回は「読む力」や「書く力」についてです。「話すこと」以上に「書くこと」は大変です。なぜなら文章は話し言葉よりも豊富な語彙が必要だからです。日常会話に出てくる語彙だけでは文章を書くことが難しいのです。話し言葉のように書かれている文章もありますが、実際に話をしているように感じさせているだけで、書く技術に工夫が凝らされています。その意味で、最近流行の携帯小説は使われている語彙が多いとは言えず、文章に深みを感じさせる作品が少ないように思います。

 語彙を増やすには、まず文章を読むことです。毎日の生活の中で、活字に向かう絶対的な量が少ないと思います。本を読みなさいとお子さまたちに勧めているのは、語彙力を強めるために他なりません。持っている言葉の数が少なければ、理解できる範囲も狭く浅くなります。知識が乏しいという以前に、語彙が乏しいことが、学力向上の妨げになっているのではないでしょうか。では、何をどれだけ読ませるか。それは次回に書くことにします。 A.M.