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選特生物 授業の補足11

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 DNAが遺伝子本体であることの証拠として、Oswald Theodore Averyが1944年におこなった形質転換の実験と、Alfred Day Hersheyが1952年にMartha Chaseとおこなった実験が挙げられます。今年最初の授業では、形質導入について簡単に説明したのち、DNAの分子構造のうち、ヌクレオチドを解説しました。

 形質導入transductionはファージが感染した細菌に遺伝子を導入する現象です。細菌にファージやプラスミドなどのベクターを利用して外来遺伝子を導入することが可能となりました。これがバイオテクノロジーの発展に有意義であったことはいうまでもありません。大腸菌を利用した遺伝子組換えではDNAを特定の部位で切り出す制限酵素やDNA断片を結合するDNAリガーゼの発見とともに重要な基礎技術となりました。そのとき、ベクターに薬剤耐性遺伝子を導入しておくと、形質導入した細菌を選択的に得ること(スクリーニング)が可能になります。このような遺伝子をマーカー遺伝子とかレポーター遺伝子といいます。マーカー遺伝子には薬剤耐性遺伝子、レポーター遺伝子には緑色蛍光タンパク質(GFP)やルシフェラーゼ遺伝子などがよく利用されます。緑色蛍光タンパク質は下村脩先生がオワンクラゲから抽出して有名になりましたね。薬剤耐性遺伝子としてアンピシリン耐性ampとテトラサイクリン耐性tetをもつプラスミドが最初の図に示しているpBR322です。