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ノーベル賞発表の季節⑤

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 今年のノーベル医学・生理学賞は、米スクリプス研究所のBruce A. Beutler博士,仏ストラスブール大の Jules A. Hoffmann博士,米ロックフェラー大のRalph M. Steinman教授の3人が受賞したようです。京都大学の山中伸弥先生は今年も選から漏れたようです。
 Steinman教授は異物をのみ込むように自らの内部に取り込み、枝のような突起を持つ「樹状細胞dendritic cell」を73年に発見しました。樹状細胞は分解した物質を白血球などの免疫物質に「抗原」として提示し、白血球が効率的に攻撃できるようにしています。2010年にトムソン・ロイターがノーベル賞候補として取り上げていました。
 Hoffmann博士は96年にTollという遺伝子が感染症予防に重要な役割を果たしていることを、ショウジョウバエを使って発見しました。Beutler博士は、細菌を認識して免疫機構を作動させるTollに似たたんぱく質「Toll様受容体」をマウスの体内で発見したことが評価されました。この2人の業績は2008年にトムソン・ロイターがノーベル賞候補として予測していました。そのときに一緒に名前が挙がっていたのが大阪大学免疫学フロンティア研究センター拠点長の審良静男先生です。ノーベル賞の同時受賞は3名までのようなので、こちらも残念な結果になったようです。