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生物演習 授業の補足②

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 ミトコンドリアと葉緑体がトポロジー的にみて相同であるという説明がよく分からないと質問があったので、説明を加えます。トポロジー topology とは位相幾何学のことです。よく喩えに使われるのが「ドーナツ(円環体)と取っ手のついたコップは同一視される。これはドーナツを「連続」的に変形して取っ手のついたコップにすることができ、その逆もできるからである。」というものです。この2つの図形は連続的な変形(ホモトピー)によって変換できるので、区別されないというわけです。
 さて、ミトコンドリアと葉緑体では、ミトコンドリアのマトリックスと葉緑体のストロマが相同な区画で,ここからH+を排出していると考えると両者は同じであると言えます。となると、クエン酸回路の酵素がはたらくマトリックスとカルビン回路の酵素がはたらくストロマが相同関係にあり、電子伝達におけるH+の輸送はこれらの区画から外へ向かって行われており、そこにF型ATP合成酵素が作用しているという内容だったのです。