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IT時代を生き抜く
2018年01月18日
学校でしかできないことを,学校で
ー「大学入学共通テスト」試行調査問題から考えるー
1月13,14日に,「大学入試センター試験」(以下,「センター試験」)が行われ,全国でおよそ58万人が受験しました。本校からも高校3年生全員が受験し,現在その結果から受験する大学を検討しているところです。さて,このセンター試験,平成32年度(2020年度)から「大学入学共通テスト」(以下「共通テスト」と略記。問題は大学入試センターのホームページから入手できます)として大きく変わります。「変わる大学入試」などと題して,テレビや新聞などは受験シーズンに合わせて特集を組み,大きく報じています。この共通テスト,現行のセンター試験とどこが変わるのでしょうか。
平成29年11月に共通テストの試行調査が行われ,その調査問題が公表されました。私の担当する数学の調査問題には,授業での生徒の学習活動の場面を再現し,それに沿って出題する形式が多くみられました。そのためか,問題全体の文章量がとても多くなり,数学的処理以外にも文章読解能力が必要とされ,より総合的な学力が試されるようになったと感じました。
また,調査問題にはタブレット端末の画面が登場しました。タブレット端末上で動作するグラフ描画アプリでは,数値を変更することでグラフを移動させたり,立体を見る方向を自在に変えたりできます。調査問題では,これらの特徴を利用した出題がされていました。タブレット端末で関数のグラフや図形の特徴を考察した経験があれば,このような問題には容易に取り組むことができただろうと思います。
学園ではこの数年,タブレット端末の導入を進めています。中学校,高等学校ではグラフ描画アプリを使用した数学の授業もすでに実施しています。しかし,タブレット端末を授業で使うこと自体が目的化してしまうことは避けなくてはいけません。大切なのは「生徒どうし,生徒と教師が対話をしながらタブレット端末を使う」ことだと考えています。試行問題では文章読解能力,批判的に読み取る力なども試されています。生徒と教師の議論,対話の中にICT機器を導入していかなくてはなりません。
「学校でしかできないことを,学校で」。今回の「教育改革」は,大学入試を改革することで高等学校あるいは中学校における日々の授業の変更を迫るものです。共通テスト実施を前に,学園ではタブレット端末の導入,授業の一層の改善を図っていきたいと考えています。
(中学校・高等学校 教諭 道北秀寿)