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親孝行・やってみなはれ
2019年12月13日
自分が“おもしろい”と思うことを見つけよう!
今年ノーベル化学賞を受賞された吉野彰先生は、今まさにスウェーデンで受賞行事に臨んでおられます。吉野先生が科学に興味を持たれたきっかけとなったのが、小学生の時に先生から紹介されたファラデーの『ロウソクの科学』であったことが、一躍話題になりましたが、私にもそのような出会いがありました。
小学校5年生になった4月、私の暮らす池田市五月山の麓に市立児童文化センターが開館しました。そこには様々な学びの講座が設けられていましたが、その中に「池田の歴史教室」があり、数年前に家族で姫路城に出かけてからすっかり歴史好きになっていた私は、早速参加しました。講師は、当時大阪府立渋谷高等学校の教員であった富田好久先生で、先生は考古学がご専門でした。何回目かの講座でこの年に発掘されたばかりの高松塚古墳壁画の、まだ有名な考古学者たちも見たことがないようなカラースライドを私達小学生に見せて下さいました。富田先生は、高松塚を調査した関西大学考古学研究室の第一回の卒業生で、研究室にお願いしてスライドを借りてきて下さったのです。私は、このスライドを見て「関西大学で考古学を勉強しよう!」と心に決め、それを無事実現しました。ですから、私は進路選択に迷ったことは一度もありません。小学校5年生で決まっていたのですから。
教員になって、たくさんの生徒の皆さんの進路指導をしましたが、いろいろな人がいました。私のように早くに決めてしまう必要はありません。でもどこかで自分が「おもしろい」「これをやりたい」というものに出会って、そこから自分の人生を切り開いてほしいのです。
職業としては教員を選びましたが、時折授業で話をするように、今でも考古学の研究を続けています。それは、仕事ではなく、自分が生きていく上でのエネルギーの源のようなものです。いわゆる研究者と呼ばれる人たちはみんなそうなのだと思います。
皆さんも授業で、クラブ活動を通じてあるいは様々な場で、自分が一生取り組むことのできるものを見つけて下さい。
(中学校・高等学校 高2学年担任 社会科
合唱部・囲碁将棋部顧問 大下 明)