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親孝行・やってみなはれ

2021年02月05日

「お父さん、お母さんのことを知っていますか?」

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 私の父は寡黙で自分のことは話さない人でした。母から聞いた話で「戦争に行きイルクーツクで抑留され、帰国後事業に失敗しサラリーマンになった」ということは知っていました。



 ソ連がロシアになり10年ほどたった頃、父が急に「イルクーツクに行きたい。」と言い出しました。誰か一緒に行かなければならないということで、私が父と2人でロシア・バイカル湖畔のイルクーツクへ行くことになりました。

 イルクーツクを散策していた時、働いていた工場が川の堤防横にあったこと、苛酷な労働だったこと、隣に寝ていた人が次の朝には冷たくなっていたこと、必ず日本に生きて帰ると決意したことを父が話してくれました。

 翌日ガイドさんに無理をお願いして日本人墓地に墓参りに行きました。父は日本から持ってきた水を供え、涙していました。私は父の怒りや悲しみ、絶対あきらめない気持ちに初めて接することができました。

 帰りの飛行機に中で父は「行けて良かった。」と少し肩の荷を下ろした顔をしていました。

その後父は認知症になり2年前に他界しましたが、イルクーツクのことは最後まで覚えていました。



 私は父が生きて日本に帰国したので産まれました。父の思いがあり、私が生きています。

ファミリーヒストリーではありませんが、両親の思いを大切にしながら人生を歩んで行きたいと思っています。



(雲雀丘学園広報部長 志水 正彦)