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親孝行・やってみなはれ

2021年12月03日

おじいちゃんとの夏合宿

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 都会育ちの小学生のぼくは、毎年夏休みは父方の繁三じいちゃんの伊賀の盆地と母方の元一じいちゃんの紀州の離島に預けられていました。大阪の駅で特急電車に乗せられ、一人で田舎の駅で降り、迎えに来てもらうという冒険から始まり(祖母は亡くなっていたので)おじいちゃんと二人の田舎生活が待ち受けていました。
 まずトイレと風呂が違い、知らない食べ物、理解できない風習や祭りがあり、恐怖でいっぱいでした。紙面の関係上、体験内容は割愛しますが、今でも理解できないのは夜中にかごを背負って大きな蛙を捕まえに行った思い出です。ぼくは驚きと楽しさの連続の中にも、わがままが言えず寂しくて布団で泣いたこともありました。繁三じいは喉頭がん手術で声が出なかったし、元一じいは作法礼儀に厳しい人でした。ぼくは近くに住むおじ・おば、いとこが心配して見に来てくれるのが、とてもうれしかったです。宿題はしていたはずですが田舎生活で鉛筆を握った記憶がありません。
 この「おじいちゃんとの夏合宿」はなぜだったのか、両親が商売で忙しかったからと想像できますが、今となっては確かめようがありません。振り返ってみると、この楽しく不自由な生活は自分自身の自然・生活体験、気質に大きな影響を与え、根っこ部分でもあります。お金で買えない貴重なものをいただき、二人の祖父と両親に感謝です。
 自分がおじいちゃんになり、孫にこんなことができるのか?あんな体験メニューを用意できるのか自信がありませんが、楽しみな反面、できたとしても安全が優先され何でもお金で買える便利な現在では、娘たちに怒られ拒否されるだろうと考えてしまいます。

(中高校校長 中井 啓之)