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親孝行・やってみなはれ

2022年01月21日

父の本棚

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 小学生時代の私は大の読書好きで、低学年の頃から小学校の図書室にあった本を片端から借りて読んでいました。たしか小学5年生になった頃だったと思いますが、父の書斎に入り込んで本棚をまじまじと見ると、小学校の図書室には置いていないような、ビジネス書、国内外の文学作品、歴史書、哲学書、美術書、科学書等々が沢山並んでいました。その中からタイトルが気になった小説を抜き取ってページを繰ると、今まで読んでいた児童向けの本では触れたことがなかった文体やストーリーに一気に引き込まれ、少々難解ではあったものの、読了後は何だか大人の世界に一歩足を踏み入れたかのような高揚感を覚えました。それからは、勝手に父の本を借り出しては、部屋に持ち込んで読み耽っていたのですが、ある時「これも面白いから読んでみたら」と小説を手渡されました。どうやら、私が父の本棚を物色していたことは、バレていたようです。その後も幾度も本を薦められ、読んだら感想を伝えるというようなやりとりがあり、私と父のコミュニケーションツールとしての役割を本は担ってくれました。「本棚を見れば、その人のことがわかる」と言われているように、本棚には、その人の興味、関心、趣味など、多くの情報が詰まっています。企業人時代、海外部門歴が長かった父は、外国人ビジネスパーソンとの付き合いでは、語学力だけでなく、幅広い教養を持ち、自国の歴史・文化に造詣があることも大切だと語っていました。当時の父の本棚は、そのようなリベラルアーツ的な志向が見て取れるラインナップだったと思います。翻って現在の自分の本棚を見ると、ビジネス関連の書籍が大きな割合を占め、何だか味気なく感じられました。しかし幸いなことに、もうすぐ新文化館「道しるべ」がオープンします。新しくなった図書館で、最新のベストセラーを手に取ったり、目にとまった本を借りたり、過去に読んで感銘を受けた本を読み返したいと、今から楽しみにしています。



(中高校事務長 荻野 孝之)