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親孝行・やってみなはれ

2022年11月18日

お互い長生き

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 小さい頃から、我儘の限りを尽くしてきたような気がします。しかし、両親は嫌な顔ひとつせず、やりたいことをすべてやらせてくれました。
中学、高校、大学へと進学し、何不自由なく成長するにつれ、母から昔話を聞くようになりました。
 両親の馴れ初め話で、父が母に猛アタックしたこと。(その時の手紙をこっそり母に見せてもらいました。)結婚してしばらくは夫婦二人で1台の2トントラックを使い、早朝から深夜までセメント袋やブロックを積み下ろししていたこと。兄が産まれたときは、初めての子でめちゃくちゃ嬉しかったこと。私が産まれたとき、父は女の子が欲しかったらしく、ちょぴり残念がっていたこと。そんな父も、わざわざ神社に出向き、十数個の候補から画数を見てもらって、最終的に名前をつけたこと。仕事が忙しく休む暇が無いほど働いていたのに、運動会などの行事では、父が自分のことのようにはしゃいでブルシートを持って早朝から場所取りをしていたこと。私が自転車で用水路にかかっている板の上を渡っているときにバランスを崩し、顔面血だらけの私を母が抱きかかえて病院まで走っていったこと。などなど。
 他愛も無い思い出話を聞くたびに、何故か目頭が熱くなります。反抗して喧嘩なども良くしましたが、愛されていたんだなぁと思います。父が他界して10年近くになります。現在私は母親との二人暮らしです。今まで散々好きなことをさせてもらいましたので、今度は私が両親に好きなことをさせてあげる番です。父には男同士ということもあり照れくさくて特に何もしてあげられませんでした。その分、母には好きなことをさせてあげたいと思っています。とはいえ、大したことではありません。二人で休みの日に出かけるくらいのことです。それでも、母には長生きしてもらい、少しでもいろんなところに行きたいと思っています。
 母を一人にしないためにも、健康でいないと駄目だなぁと思いつつ、大きな体型を維持しています。母もずいぶん歳を取りました。最近出かけると母は口癖のように言います。「あんたがおってくれたら、それだけでええ。」これを聞くたび、言葉が詰まります。自分も長生きしなきゃ!

(雲雀丘学園中学校・高等学校 高1学級担任 理科 奥本 光廣)