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親孝行・やってみなはれ
2024年05月24日
引き受ける
子どもの頃、父からの電話に母の不在を伝えると、「お母さんのこと助けてあげてな」と言われました。唐突なことで深く考えずに「うん」と返事をしたのですが、それが父との最後の会話となりました。入院を出張と偽り、病気のことは子どもたちには隠していたそうです。
時が経ち、母との同居を決めた際、今度は叔母から「頼んだで」といつにも増して大きな声で言われました。叔母自身、身体を悪くしているのに…と考えた時に、父とのやりとりを思い出し、はっとしました。皆、自分のことは頼まないのです。
これまでは実行することがその想いに報いることだと考えていました。しかし、人が頼み事をする時、叶えてもらえるかどうかより、他者を想う気持ちを引き受けてもらえたかどうかが大切なのかもしれないと思うようになりました。
母からも頼まれていることがあります。まずはその想いを引き受けることで親孝行になっていればと願っています。
(雲雀丘学園中高等学校 教務部長 国語科 高松 靖二)