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親孝行・やってみなはれ

2024年05月31日

祖父の背中

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 昨年亡くなった祖父は、未だに私にとってとても大きな存在です。

 祖父は、私の両親が離婚に伴う親権問題で揉めた際に「ええわや、ワシが育てたるわや」と言ったそうで、以来本当に父親代わりを務めてくれました。父親参観日には祖父が来てくれ、週末はよく祖父と出かけたり、共に時間を過ごしたりしました。ごはん時の思い出は、祖父と共に過ごした時間のものが最も多いですし、私が教員になれたのも、大学まで通わせてくれた祖父の経済支援があったおかげです。

 そんな祖父はNTTの技術者でした。ポケベル全盛期の90年代に光ファイバーの敷設工事や携帯基地局の開設・設置に関わりながら「これからこれまでにない速さとデータ量の通信が可能なすごい時代が来るぞ」と、ワクワクした目で私に話してくれていました。また、阪神大震災の折、発生当日午後には余震の続く現地へ赴いて通信インフラの復旧に尽力したりもしており、当時小学生だったものの、その祖父の熱い使命感に圧倒されてもいました。

 自分の仕事に誇りと責任を持って諦めずにやり遂げながら、やりがいを見出し、仲間と協力しながら業務に当たって仕事仲間=親友のような関係を作る祖父で、祖父の同僚が週末自宅に泊まりがけでやってくることもしばしばありました。

 職業人としての祖父、一人の人間としての祖父。まだまだその背中には追いつかないけれど、頑張ろうと思います。



(雲雀丘学園中学校・高等学校 中3担任 国語科 山中 和世)