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新着図書紹介 11

 以前、山本美香さんのこと紹介した時、一人の先生に「どうしてジャーナリストは、危険とわかっている紛争地に行くんでしょう?」と尋ねたことがありました。「情報戦に惑わされず、そこで起こっている本当の事を世界に伝えるため」なんじゃないかと言われましたが、それでも「どうして?」と思ってしまいます

 あらためて、その質問の答えが書かれているのが

山本美香という生き方/山本美香・日本テレビ (日本テレビ放送)
 生前、山本さんが書いた『中継されなかったバグダッド(小学館・2003年)』を収録、公私ともに山本さんのパートナーだった佐藤和孝さんによって山本さんの様子も語られています
 バグダッドのホテルで起こった信じられない出来事。「外国人ジャーナリストがいることで、最悪の事態を防ぐことができる。抑止力になれる」という強い志。でもいつも慎重に慎重を期し「自分は死なない」と暗示をかけ、紛争地に向かいます。残されたノートには、「前を向いて歩きながら考える」という言葉が残されていたそうです。

 その佐藤さんが2人で取材を始めた頃の様子(主に食事の事)を書いたのが

戦場でメシを食う/佐藤和孝 (新潮社)
 どんな状況下でも「食」というのは、人間の活力であり、楽しみである。それは、兵士も住民もジャーナリストも同じ。
 イスラム圏で厳格に教えを守る人もいれば、(現地の人にすれば)得体のしれない日本食に興味津々「一口、食べたい!」という人もいたそうです。
 1日中歩いた雪山の月明かりの下で口にしたガチガチに凍ったナン(パン)、紛争地の最前線の即席カフェで飲んだチャイ、強盗に会い何もかも奪われ悲壮感に満ちていた時に手渡されたブドウ。
 映像では伝えることのできない「食感」を、伝えたかったそうです

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