進路の部屋
最終回・63期生合格体験記⑮
2022/03/30
2022年度の大学入試が終わりました。憧れの大学へ進学が決まった人、悔しい思いを抱えながらも新たな1年を踏みだそうとしている人、それぞれの春を迎えていることと思います。今回、ご紹介するのは高校在学中から悩みに悩んで、それでも逃げずに本当にやりたいことを見つけた63期生の合格体験記です。「合格」に至るまでは様々な道があることを、後輩の皆さんに知ってもらえたらと思います。
【京都大学 教育学部 一貫選抜コース 女子】
私の受験生活は、自分が当初描いていたものとはかけ離れていました。高校3年生はじめから不登校予備軍。秋には保健室登校。翌年春には滑り止めの大学の工学部に進学。夏に一念発起し再受験を決意。そして今年、文系で京都大学教育学部を受験し合格。
最終的に合格するまで、何もかも順調ではなかったように感じます。このように紆余曲折のあった私の経験から、順調に進んできた人ばかりではないということをお伝えできれば、と思います。今、周りの受験生から取り残されていると感じている方、自分の進路に違和感を感じている方などがいれば、読んでいただければ幸いです。高校3年生の時、学校に通うのがしんどくなりました。その後、なんとか保健室登校するようになるものの、たまに授業に出ると自然と涙が溢れている。受験まっしぐらな周りと自分とのギャップが怖い。到底受験できる状態ではありませんでした。その時先生から言われていたのは、「なんとか卒業しよう」ということ。受験を見据え今まで積み重ねてきた全てが、無駄になったような気がしていました。
そんな私が少しずつでも回復できたのは、先生方の支えもあり、立ち止まって、現状の自分を認めたから。そして、認めつつ、どんなに些細でも、その時の自分にできることをしたからです。その時その時の自分にできることをしているうちに、全て無駄になったようで、案外無駄になっていないことに気がつきました。
かろうじて受験でき、幸い合格した大学がありました。当初の志望校とは全く異なるものの、これも縁だと考え、合格した大学の工学部に進学しました。高校での遅れを取り返すべく、必死に大学の勉強をしていました。ずっと、どこか、違和感を感じたまま..。そのうちに、大学に通うのもしんどくなりました。このままでは大学まで不登校..高校の時と同じ.. そんな思いに苦しむ私を見た大学の先生から、「今まで自分の心の声を見て見ぬふりしてきたんだね」と言われました。
自分の心の声。これを無視し続けたことが、高校、大学と私が苦しんだ原因だと思いました。本当は何をやりたいの?私は何者なの?何に向いているの?..自分の心と本音で対話し続けました。そして、様々な大学の、様々な学部のパンフレットを取り寄せるところから始め、紹介動画を見、改めて浮かび上がった「私自身」の居場所を1から探しました。私の居場所は、京大教育学部にあると思い至りました。この時点では、すでに夏終盤。半年間工学部の勉強しかしていない。受験の重圧に耐え切れるか自他ともに不明。不安。..
当然、葛藤だらけでした。ただ、行動するなら今が一番早いと考え、受験することを決意しました。また、今回は得意な英語・国語の配点が高い文系で受験することに決めました。夏終盤からの受験勉強。辛いことはたくさんありました。それでも、最後の最後まで私が諦めず受験し切れたのは、どうしても京大教育学部に入りたい気持ちがあったから。そしてその気持ちは、自分の心と本音で対話したからこそ得られたものでした。
精神的に回復し切ってはいなかったため、不眠で勉強できない日が続いたり..色々としんどいことはありました。ただ、いつでも、どんな時も、自分の現状を認める。心の声をきく。本当にやりたいことを確認する。その時々、できることだけをする。
もちろん、過去の自分や周りと比べてしんどくなることはありました。そんな自分も含めて、認める。心に違和感を感じたら、立ち止まっていいと思います。この違和感を見て見ぬふりして、突っ走る方が後々大変。周りから置き去りにされる焦りや恐怖から突っ走ってしまうと、自分まで自分の本音を置き去りにしてしまうと思います。立ち止まったらいい。周りの人は皆、順調に進んでいるように見えても、そうでもないですよ。
【体験記を書いてくれたあなたへ】
中学に入学して間もない頃、瞳をキラキラさせて、時折うなずきながら授業を聞いていた様子を真っ先に思い出します。その、誰に対しても、何に対しても真摯で誠実な姿勢は高校卒業まで変わりませんでした。中3時のカナダ中期留学では毎日楽しそうなメールを送ってくれました。 暗唱大会での発表、合唱コンクールの指揮、文化祭で作成した映画ではコミカルな演技を披露・・・と活躍の場は枚挙にいとまがありません。クラスメイトに大きな刺激を与えてくれたこととも思います。悩み抜いて掴んだ進路が、どうぞあなたの居場所になりますように。また遊びに来て下さい。今回報告に来てくれた時のような、弾ける笑顔のあなたに会えることを楽しみにしています。