卒業生~母校は母港になる
No.63(57期)日本語教師という仕事
2023/03/06
こんにちは。57期生の土居菜津子です。
現在、トルコの大学で日本語を教えています。日本語教師という仕事はみなさんにとって身近でしょうか。
日本語教師といっても、大学や日本語学校、企業、フリーランスなど様々な働き方があります。日本国内か海外かというのも大きな違いです。また、ここ数年はオンラインで教えている人もいます。
私は大学の初級クラス(対面)を担当していて、日本語を学んだことがないトルコ人学生に一から日本語を教えています。あいさつや「XはYです」(わたしは~です。しゅっしんは~です。など)といった文法から始めます。ひらがな、カタカナ、漢字の文字指導も行います。
授業をしていると時々、学生から興味深い質問をされます。先日はこんなことを聞かれました。
「チェンソーマンに『ジュウの悪魔』という悪魔がいますが、日本人はそれが『銃の悪魔』だとどうやって分かりますか。ジュウには十、銃、獣など色々な漢字があります。」
また、自分の家族について他人に話す場合と身内同士で話す・呼びかける場合では、言葉が変わるという話をした時は、
「自分のお母さんに呼びかける時、『ねぇ、母』と言ってもいいですか。」という質問が出ました。スパイファミリーの影響でしょうか笑。
学生からの質問は、日本のアニメや漫画の影響力の大きさを実感するとともに、自分の日本語使用を改めて振り返るきっかけにもなります。
授業準備や学生との交流を通して、無意識に使っている日本語の面白さに気付けることが、日本語教師の魅力の一つだと言えます。例えば、日本語教育の文法用語に「て形」というものがあります。何のことか分かりますか。
「食べて」「読んで」「走って」などのいわゆる連用形のことです。連用形という言葉はそれだけで意味を想像しにくいため、日本語教育では「て形」と言っています。みなさんは、この「て形」の作り方を説明できますか。日本語を学んでいる人に、「読みて」「走りて」はどうしてだめか、と聞かれたらどう答えますか。動詞の語幹に「て」をつけるだけでは十分ではないようですね。いつ「~んで」「~って」になるのでしょうか。
実は「て形」の作り方にはルールがあり、そのルールに従えばすべての動詞の「て形」を作ることができます。(気になった人はYouTubeで「て形の歌」と検索!)
日本語母語話者はルールを説明することはできなくても、感覚的に「て形」を作ることができます。しかし、学習者はそうではありません。日本語を外国語として捉える人と同じ視点を持つためには、日本語を分析する必要があります。よく知っている(と思っている)言語だからこそ、新しい発見があると新鮮な気持ちになります。(こんな当たり前のことを教えないといけないのか、と思うことも正直ありますが...笑)
日本語教師は、学習者がいるところなら、どこでも職場になり得ます。なんとなく海外で働いてみたい、外国につながることがしたい、という気持ちがある人にはおすすめの仕事です。
ここまで読んでくださり、どうもありがとうございました。日本語教師という仕事に少しでも興味を持った人は、ぜひ以下のキーワードで検索してみてください。
・日本人の知らない日本語(蛇蔵・海野凪子著、マンガ)
・国際交流基金 日本語パートナーズ(主に東南アジアで日本語教師のアシスタントをするボランティア)
・国際教養大学専門職大学院 日本語教育実践領域
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