
校長通信
67期生おめでとう! 第101号
2025/03/03

3月3日にご来賓、保護者の皆様のご臨席を賜り、雲雀丘学園高等学校第67回卒業式を挙行いたしました。あいにくの雨天となり、入退場や写真撮影を変更いたしましたが、厳かさの中に温かみのある卒業式となりました。
卒業証書を授与しました67期生332名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。
保護者の皆様、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。在学中はさまざまなご協力をいただきましたこと厚く御礼申し上げます。
卒業生の皆さん、これからいよいよ新しい生活に向けての第一歩を踏み出すことになります。これからの人生で嬉しい時、苦しい時さまざまな場面で雲雀丘学園のことを思い出し、機会があれば訪れてください。教職員一同お待ちしています。これからいよいよ新しい生活に向けての第一歩を踏み出すことになります。
「迷わず行けよ 行けばわかるさ」
みなさんの未来に幸多きことを祈っております。
たくさんの祝詞、祝電をいただきましたことこの場をお借りして御礼申し上げます。ありがとうございました。

保護者の方から式辞の公開をとのお声をいただきましたので、要旨をあげさせていただきます。
昔話「浦島太郎」からの教訓
皆さんもご存じの通り、浦島太郎は亀を助けたことがきっかけで竜宮城へ招かれ、楽しい日々を過ごします。しかし、故郷を思い出して戻ると、すでに三百年が経っており、絶望の末に玉手箱を開けて老人になってしまいます。
この物語から、いくつかの教訓を学ぶことができます。まず、「約束を守ることの大切さ」です。玉手箱を開けてしまった浦島太郎は、約束を破ったことで罰を受けました。現代の物語では「罰」の要素が強調されていますが、元の話では玉手箱を開けたことで亀(乙姫)と再会し、幸せに暮らしたという展開もあります。
次に、「善い行いをすることの大切さ」です。浦島太郎が亀を助けたことで、恩返しとして竜宮城へ招かれました。「情けは人の為ならず」というように、善行は巡り巡って自分に返ってくるものです。しかし、近年は「コスパ」を重視し、見返りのない行動を避ける傾向が強まっています。すぐに利益が得られなくても、人のために行動することが、結果として自分の人生を豊かにするのではないでしょうか。
さらに、「目先の快楽に流されないこと」も重要な教訓です。浦島太郎は竜宮城でぜいたくな生活を送りましたが、それは一時的な楽しみであり、彼の人生の基盤にはなりませんでした。楽しいことばかりを追い求めるのではなく、苦労の中で得られる充実感や、人とのつながりの大切さを忘れないでください。
そして最後に、「甘い話や誘惑には気をつけること」です。浦島太郎が亀の誘いに乗らなければ、彼の人生は違ったものになったかもしれません。人生には様々な選択がありますが、その先に何があるのかをしっかり考え、自分の意思で決断することが大切です。『御伽草紙』の浦島太郎のように、自分の人生を選び取ることこそが幸せにつながると考えます。幸せの基準は人それぞれですが、自分が納得できる人生を歩んでください。
私は、校長式辞や講話で昔話を用いて話してきました。昔話は、皆が知っていて何となく面白く、長く語り継がれてきたこと自体が素晴らしいからです。生きることも同じで、いのちは親や祖先から受け継がれ、私たちも次の世代へ引き渡していきます。昔話といのちは、どちらも意味が明確ではなく、それぞれが見つけるものです。卒業生には、人と出会い視野を広げ、人生の主役として正解のない答えを自分なりに作り上げていくことを願っています。