高3学年通信
コミュニケーション能力と語彙力
2018/08/30
61期生が養っていく重要なスキルとして「コミュニケーション能力」があります。それに欠かせないのは伝えたい内容を的確な言葉遣いで表現する「語彙力」です。
一言で語彙と言っても、言葉の意味を知っているだけの「認知語彙」と言葉の意味を知っていて、なおかつ使いこなせる「使用語彙」に分かれます。
認知語彙は文章を読んだり、話を聞いたりするときに理解できる言葉のことです。一方の使用語彙は、自分で文章を書いたり、話をするときに使う言葉です。
認知語彙が多ければ多いほど現代文の成績もよい傾向があると言われています。認知語彙を増やすには、文豪の古典的な名作がいいそうです。品のある文体で語彙も豊かだからというのが理由です。例えば夏目漱石の『草枕』は「智に働けば角が立つ。情に棹されば流される。という文ではじまります。「理知だけで割り切ると他人と衝突し、他人を気遣っていると足をすくわれる」という意味ですが、これだけでも理知的な語彙を得られたことが感じられます。
現代文の授業で問題を解いたり、読書を多くすることで認知語彙を増やし、意識的に使用語彙を使っていくことでコミュニケーションスキルも向上していきます。語彙が豊富な人は、読書などを通じて多くの知識や見識を得ています。そして、対話のなかで語彙を手がかりに、相手の知性や品格を無意識のうちに判断します。
つまり、語彙力は教養そのものなのですね。国語を勉強することはコミュニケーション能力の向上にまでつながっていくのです。