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常務理事便り
2020年03月09日
「東日本大震災から9年を明後日に迎えて ②老夫婦の会話」
冒頭申し上げたように東日本大震災からまる9年を迎えようとし、また地元阪神淡路大震災からは25年が経過しました。毎年、震災の日になると「忘れない、風化させない」と各種の催しがありますが、残念ながら記憶というものは薄れていくように思います。私も中高の校長をしていた5年前ですが、震災記念日に行う避難訓練の時、生徒の前の挨拶で型通りの注意しかできなかったように記憶します。あの時どうして自分の体験を話して震災の非情さを伝え、備えの大切さを訴えなかったのか悔しい思いが残っています。
私が中学生の時、社会に愉快な先生がいて、ある日の授業の初めにニヤニヤしながらプリントを配り始め「地震とテストは忘れたころにやってくる。神様は見ているぞ」と言って突然試験を始めるのです。
生徒の抗議も受け付けません。それから1年間は先生と生徒の間には奇妙な緊張感もあって授業が楽しかったことを思い出します。
読売新聞の「編集手帳」に、阪神大震災の激震の朝の様子を伝えた同紙の紙面を引用しコラムが書かれていましたが、それをさらに引用させていただきます。地震には想像を絶する悲しみ、苦しみが襲ってきます。我々はそれを体験することはできませんが想像することは可能です。この老夫婦の心情を思いやるとき、到底その境地には到達できるものではありませんが、ほんの一片でも語り合うなら地震への備えには少しは有効なのではないでしょうか。子供たちは、いや我々大人もぜひお読み頂きたいと思います
妻が叫んだ。「タンスにはさまれ動かれへん」。夫が駆けよる。「火が来とるで!」。妻が押し返すように言う。「お父ちゃん。もういいから行って」。「かんにんやで、かんにんやで」。74歳の夫は近所の人に羽交い絞めにされながら、燃え盛る家をみつめた。
(2020.3.5)